2018年12月3日

【RPAコンサルタントの日常】

~BPMが先か、RPAが先か~

BPMとRPA

BPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)とRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、プロセスを扱うという意味では似たソリューションであるが、その実は異なる。BPMはプロセスを可視化し継続的に改善し続けるといった活動のことであり、RPAはあるプロセスを自動化し定型的な業務などから人を解放する手段のことである。

BPMが先か、RPAが先か

この2つについて、BPMを先に適用すべきか、RPAから始めるべきか、と順番を問われることがある。この際は、まずはBPMから、と答える。何故なら、BPMとは先述のとおりプロセスを継続して改善する活動だからであり、この活動はRPAにも役立つからである。

ビジネスもプロセスも変化する。その変化に課題を見つけ、対応することこそ改善と言えよう。この考えはRPAの自動化にも応用が効く。自動化対象業務が変化すれば、RPAロボットも変えていく必要がある。よく言われるがロボットは作って終わりではない。しかし、BPMで改善し続ける風土ができていれば、RPAにも自然と改善し続ける土壌ができるであろう。また、BPMはあるプロセス全体の改善であることに対して、RPAによる自動化はその一部分であることが多い。先のコラム(20181016)にも書いたが、プロセスを俯瞰して、定型業務の塊を抽出し、それを自動化するのがRPAの王道である。

これにはBPMのツールが使える。BPMにはBPMN(ビジネス・プロセス・モデリング表記法)というプロセス表記法がある。この表記法の優れた点は、様々な表現ができることにある。すなわち業務全体の俯瞰に役立つ「協業プロセス図」と、あるプロセス全体の俯瞰に役立つ「抽象プロセス図」、詳細なプロセスの確認に役立つ「個別ビジネス・プロセス図」がある。RPAの自動化対象業務にあたりをつけるには、協業プロセス図が役立つ。プロセスを俯瞰するには抽象プロセス図、細かく手順を見て定型業務の塊を抽出するには、個別ビジネス・プロセス図を使用すれば良い。

RPAから始めた場合

さて、もしRPAから先に適用した場合はどうだろうか。RPAを先にするくらいだから、すでに自動化の目星がついていて、個別の適用は早いかもしれない。しかし、瞬間風速的な結果になりかねない。業務プロセス全体の俯瞰がないため、個別最適で終わってしまう可能性がある。また、業務プロセス自体を改善し続けるという風土がないため、ロボットの保守が十分になされず、いつの間にか使えなくなってしまう恐れがある。もしくは、手戻りや不要な作業が発生する恐れがある。プロセスを俯瞰して見ていないために、自動化対象から遠い業務の詳細なフローを何本も作ってしまう等、である。

BPMの活動が先

よって、RPAが先か、BPMが先かと聞かれた際には、BPMが先と答えるようにしている。そして、何度も言うようだが、ここで言うBPMとはITシステムではなく、仕組みとしてのBPMのことである。すなわち継続的にプロセスを改善し続けられる仕組み、これが重要なのだ。

2018年12月