2016年9月26日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~システム投資の予算を決めるのは社長の仕事~

システム構築の「支払額」を決めるのには大きく2つの方法があります。

①予算を発注者があらかじめ決めて、その上で調達を行い、予算の範囲内あるいは若干の予算増加調整をして、支払額を決める。

②ベンダーからの見積もり額を見て、それが払える範囲内であればそれを支払額とする(値引き要求などの交渉も含めて)。

中小企業のシステム投資の現場を見ていると、②のやり方で支払額を決めているケースが多いように思います。適切なシステム投資額を見積もるのは非常に難しい作業であることは確かです。またどのようなハードウェア、ソフトウェアあるいはサービスがあって、それにいくら費用がかかるのかという情報は提供者であるベンダーが持っています。だから②のやり方になってしまうのは仕方のないことかもしれません。

それでも、やはりできる限り、発注する側は自分達の予算というものを試算して、持っておくべきです。RFP(提案依頼書)に予算を表示すべきか否か、はよく議論になるテーマです。しかし、予算を書く・書かないという問題以上に予算を試算している・いない、のほうがはるかに論点としては重要です。たとえRFPに予算を記載しない場合であっても、発注者側は予算の試算を必ずすべきです。それはハードがいくら、開発費がいくら、といったベンダー側が行う費目の積み上げによる試算ではありません。システムを使って行う事業の観点から「いくら出せるのか」を試算すべきです。

例えば新規事業の計画として1年間に2千万円の利益を見込んでいるとするならば、2年でシステム投資を回収しようと思えば4千万円、3年なら6千万円を大枠の予算とみることができるでしょう。あるいは現行システムの維持管理費が年間1千万円かかっているとして、新システムでは維持費が半額の500万円とすれば、5年で2500万円の節約になります。新システムを2500万円で購入し、現行システムよりも高機能で快適な環境を獲得するメリットは十分にあります。

大事なことはRFPに予算を書くことではなく、予算をきちんと試算することです。そしてその予算を決めるのは社長の仕事です。試算を繰り返して予算案を出すのは社員の仕事であって構いません。しかし、その予算案を理解し、承認するのは社長しかできないことです。できれば社員任せで試算するのではなく、社長も積極的に試算に参加することが望ましいです。それは単なるシステムの予算というよりは事業目論見そのものだからです。

2016年9月