2023年417

【失敗しないシステム導入】

パッケージ製品を絞り込む際のポイントとは?~


パッケージ製品(ERPパッケージなど)の導入にあたっては、最初に数多くある製品の中から候補を絞り込んだ後、RFP(Request For Proposal:提案依頼書)をベンダーに発行し、ベンダーから提案を受け、比較選定します。

 

最初に候補を絞り込む際にはRFI(Request For Information:情報提供依頼書)をベンダーに発行し、ベンダーから情報提供を受けます。絞り込みの観点としては、価格、導入体制、導入実績、保守・運用体制、バージョンアップ頻度、業務との適合度などがありますが、一番評価が難しいのは業務との適合度です。

業務との適合度を評価するために、パッケージ製品を提供してもらったり、デモンストレーションを実施してもらったりしますが、それらの情報をもとに短期間で業務との適合度を判断するのは難しいです。特にデモンストレーションでは、見た目を引きやすい便利機能などに時間が割かれやすく、本質的な内容に踏み込まれないことが多くあります。

 

このような状況で業務との適合度を見極めるのに重要なポイントは何でしょうか?

どのような情報(以下データとします)を管理できるか、データ同士の関係はどのようになっているかを把握することと考えます。例えば、発注データと納品データを管理でき、発注と納品の関係は1対Nになっている、というようなことです。これをデータ構造と呼びます。データ構造が業務に合っているかで業務の適合度を見極めます。

 

データ構造が業務に合っていれば、パッケージ製品自体をカスタマイズせずとも、外付けでのアドオンで対応できることが多いです。データ構造が業務に合っていないとパッケージ製品自体をカスタマイズせざるを得ません。ご存知のようにパッケージ製品自体のカスタマイズは結果として高コストになるので避けたいところです。

 

パッケージ製品の資料、デモンストレーションや質疑応答からデータ構造を読み取り、整理していきます。データ構造をデータモデル(ER図など)として整理できるメンバーがいるとより効率的に整理できます。そしてここで作成したデータモデルは、この後のパッケージ最終選定、その後の要件定義でも役立ちます。

 

このようにパッケージ製品を絞り込む際には、パッケージ製品の資料、デモンストレーションの内容をそのまま鵜呑みにするのではなく、パッケージ製品のデータ構造を意識、整理し、その結果をもとに業務の適合度を評価することで、より適切なパッケージ製品を選ぶことができます。

 

2023年4月

【石井健作のコラム】

▶ 失敗しないシステム導入