2019年4月8日
【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】
~外力としてのコンサルタント②~
今回は、コンサルタントが「外力として働く」ことの例の二つ目として挙げた「第三者として合意形成に関与する」について記します。
第三者として合意形成に関与する
組織における意思決定には、それぞれの場合において程度の差はありますが、合意形成が必要です。意思決定の結果に従って、それ以降の活動を行っていく際には、組織のメンバが役割分担して任務を遂行していくことになりますが、合意のレベルが低い状態では、これが叶わないからです。しかし、この合意形成が容易ではないことが多々あります。それは意思決定への参加者の間にある利害の不一致、対象についての知識・情報の格差、対象に対する思い入れの違い、感情的な対立などに起因します。
当事者間では上記のようなことの差異の縮小・解消が難しい時、コンサルタントは第三者として中立的な立場から、客観的な視点をもって、それを支援する役割を果たします。
【A】各点について行うことに例は以下のようなものがあります。
◎ 利害 ・・・論点の明確化、対立の構造の可視化、代替案の提示
◎ 知識・情報・・・情報提供
◎ 思い入れ ・・・披瀝機会の提供
◎ 相手に対する感情・・・人と意見の切り離し
【B】さらに、コンサルタントが第三者として合意形成に関わる際には、以下の点に対する支援が重要になります。
◎ 決定方法の決定
◎ プロセスマネジメント
これは、第三者も人間である限り、認知バイアスや感情バイアス等の様々なバイアスから完全に自由ではないため【A】は完全たり得ないから、また、組織の意思決定においては合意形成の必要性に程度の差があるからです。
2016年10月24日掲載分(2016/10/24)で紹介した印南一路は、意思決定においては以下の3点を高いレベルで同時に達成できることが理想である、としています。
a)意思決定に係る時間とエネルギーの少なさ
b)意思決定の質の高さ
c)決定に対する満足度・受容度の高さ
合意形成に必要性は、その意思決定において、このうち「c」がどの程度の比重を持つかにより変化します。したがって、合意形成そのものだけでなく、意思決定の目的、意思決定の先にあるものと今回の合意形成との関係を正しく理解しておくことが必要となります。
「決定方法」にはいろいろな種類・バリエーションがありますが、「a」「b」「c」の比重によってそのうちのどれに適するか、選択した方法によるプロセスで何が重要となるかが異なります。
「ファシリテーション白書」(日本ファシリテーション協会)にあるアンケート調査では、満足度低下の原因として以下のことが多く挙げられています。
・発言が一部の人のみ偏っている
・本音で話すことができない雰囲気がある
・脱線が多い
・議論が噛み合っていない
「c」が優先される場合には、プロセスの中で上記に対するコントロールを行い、意見を述べる/意見を聴く、質問する/質問を受ける機会を多くして、不全感が残らないようにすることがより重要になります。
意見交換や質問の際には、2015年6月29日掲載分(2015/6/29)で紹介した「ソーシャルスタイル」を考慮することが満足度・受容度の向上に有効です。
ドライバ:短時間で簡潔にまとめる
アナリティカル:時間をかけて細かく説明する/させる
エクスプレッシブ:感覚⇔論理の橋渡しをする
エミアブル:安心感(例:間違っていない)を与える
2019年4月