2017年2月27日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~ITに関しては「週刊誌経営」もまんざら悪くはない?まずは社長が興味をもつことが第一歩~

「週刊誌経営」という言葉を聞いたことはありますか?これは社長が出張などの移動中に購入した週刊誌でたまたま記事に出ていたことを「これだ!」と飛びつき、会社に戻るとすぐに「当社は今日からこれに取り組むぞ!」といきなり経営改革を始めることを揶揄したものです。週刊誌などの記事にある改革の成功例は社長にとって結構気になるものです。しかし、表面的な結果としての成功だけを見て、マネしても大抵はうまくいきません。

例えば「我が社の会議はすべて1時間以内、会議改革により生産性大幅アップ!」といった記事を読んで、社長が「今日から我が社も会議はすべて1時間以内を厳守せよ」と号令を掛けたとします。それに社員が従い、会議を1時間以内に終わらせようにしたらその会社の生産性はアップするでしょうか?終了時間を気にすることでダラダラが減少し、多少は改善が見込めるでしょう。しかし、会社全体の大幅な生産性向上を実現するためには、単に会議時間を1時間以内にするだけではダメです。そこにきちんとした「会議マネージメント」や「ファシリテーション」の技法を取り入れることが大事です。それ以上に社員全体が会議の目的を理解し、生産性向上とは何をもって計るのかを共有していなければ、本当の改革にはつながりません。

ITに関しても同じことが言えます。「クラウド」、「ビッグデータ」、「AI」といった言葉はビジネス雑誌や一般の週刊誌などにも頻繁に出てくるようになりました。それを読んで「我が社もAIだ!」という社長もいらっしゃると思います。ある意味、典型的な週刊誌経営かもしれません。しかし、逆にAIやクラウドに関して「我が社のような中小企業にはまったく関係のないことだ」、「AIなんてずっと先の話だろう」と関心を持たない社長と比較した場合、どちらが良いと思いますか?なかなかその評価は難しいかもしれません。「AIだ!」と飛びつく社長は良く言えば好奇心旺盛・新進の気質あり、悪く言えば安易に第三者に振り回される軽いタイプと見られてしまいます。興味をもたない社長は、石橋をたたいて渡る慎重派と見ることもできるし、頭が固く時代に取り残される経営者とみなされるかもしれません。

難しい比較ではありますが、どちらかを選べ、と言われたらやはり「週刊誌経営」と言われようとも「我が社もAIだ!」という社長の方がこれからの時代の経営者としては良いのではなないでしょうか?技術はどんどん進歩します。技術として成功するもの・失敗するもの、市場に定着するもの・すぐに消えていくもの、いろいろとあります。好奇心やチャレンジ精神がないと、その変化に付いていくことはできません。ことITに関して社長は少しばかり週刊誌経営でも良いような気がします。

2017年2月