202326

【失敗しないシステム導入】

社内システムを外部に公開する際の注意点とは?~


社内でのみ利用していたシステムのデータを外部に公開することがあります。例えば、購買システムの購買履歴を顧客に公開し、さらなる購入に繋げてもらうといった場合です。この時に社内から社外へとシステムのスコープが広がることで注意すべき点があります。これらを考慮せずに外部にデータを公開するとトラブルに発展するリスクがあります。以下に注意すべき点を述べます。

1.古いデータの品質に注意!

外部に公開する場合、古いデータの品質に注意しましょう。例えば、前システムから移行してきたデータです。社内で利用しているAシステムのデータを公開する場合、Aシステムには、Aシステムの前に使われていたBシステムから移行してきたデータが含まれていることがあります。旧システムから移行してきたデータは、多くの場合、現行業務とマッチしていないため、空のデータ項目が多かったり、場合によってはダミーデータが入っていたりします。このまま公開してしまうと、顧客にとって不十分であったり、間違った情報を提供したりすることになります。

 

2.例外処理のデータに注意!

例外処理のデータに注意しましょう。社内のみで利用しているために例外処理への対応として実態と異なるデータを登録していることがあります。例えば、在庫の引き当てミスなどの自社都合で購買予約をキャンセルした場合、これに対応するシステム機能がないために、一度データとしては購買されたことにしていたとします。この場合、顧客がシステムで購買データを参照すると、実際には購買予約がキャンセルされたのに購買実績として表示されることになり、顧客満足度を下げてしまうことになります。

 

3.マスタの名称に注意!

マスタの名称に注意しましょう。社内のみで利用しているために社外に公開することを想定せずに社員向けのコメントをマスタの名称に含めていることがあります。例えば、商品マスタの名称に「スマートフォンケース(透明)//クレーム多い注意//」などとコメントが入っている場合です。この場合も顧客がシステムで購買データを参照すると問題になります。少し行き過ぎた事例かもしれませんが、このようにマスタの名称にコメントを入れているのを見たことが有る方もいらっしゃるでしょう。

 

社内から社外へのスコープが広がることでデータの位置づけが全く変わってきます。外部公開の際はシステム面でのデータ連携方式やタイミングなどに目が行きがちですが、業務面でのデータの中身にも目を向ける必要があります。

 

2023年2月 

【石井健作のコラム】

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