2022年620

【失敗しないシステム導入】

受入テスト項目を検討し始めるタイミングとは?~


システム導入において、納品されたシステムを発注側が実際に利用し、テストするのが受入テストになります。総合テスト、ユーザーテストなどと呼ばれることもあります。受入テストは要件定義と対になっており、要件定義の内容どおりにシステムが作られ、業務が回るかをテストします。受入テストの項目は受入テストの直前に要件定義書を元に作成することが多いですが、要件定義の段階から受入テスト項目を検討し始めるべきと考えます。早い段階から受入テスト項目を検討し始めることのメリットを説明します。

1.システム仕様をシンプルにできる

要件定義、設計工程では「こんな業務パターンも考えられる、こんなシステム機能も欲しい」と思考が発散し、システム仕様が複雑になりがちです。一度、思考を発散させるのは重要なのですが、収束が行われないままという場合が多いです。

システム仕様が複雑になると、不具合が潜在するリスクが高くなります。また、ベンダーの開発工数、テスト工数も増え、コストに跳ね返ります。発注側の受入テスト項目も増え、不具合を発見できないリスクは高まり、工数も増えてしまいます。受入テストの段階になって、こんな複雑なシステム仕様にしなければ良かったと悔やんでも後の祭りです。要件定義、設計工程から受入テスト項目を意識することで、システム仕様をシンプルにする(収束させる)力が働きます。これにより高品質、低コストのシステムにすることができます。

2.漏れのない受入テスト項目を作成できる

受入テストの直前に慌ててテスト項目を作り始めると時間が足りず、漏れのない受入テスト項目を作成できないことがあります。また、前述のように受入テスト項目の作成にあたっては要件定義書を元に作成することが多いですが、(これは良くないことではありますが)設計工程、開発工程で発生した要件変更が要件定義書に反映されておらず、不確定であることがあります。受入テスト項目が不十分だと不具合が見逃される可能性が高くなります。早くから受入テスト項目を検討し始めることで漏れのない受入テストを実施できるようになります。これにより高品質のシステムにすることができます。

受入テストの直前に受入テスト項目を作成し始めることが多いと思いますが、高品質、低コストのシステムにするために、要件定義の段階から受入テストを意識しましょう。

2022年6月

【石井健作のコラム】

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