2017年7月18日

【失敗しないシステム導入】

~調達に起きている変化とは?~

かつてのシステム導入は、業務を問わず、スクラッチ開発やパッケージシステムを自社の業務に合わせてフルカスタマイズすることがほとんどでした。しかし近年では、システム導入コストや保守・運用コストの削減のために、ノンコア業務においては、パッケージシステムをなるべくカスタマイズせずに導入することが求められてきています。このような流れの中でのシステム調達にどのような変化が起きているのでしょうか。

かつては、欲しいシステムを具体的に提示し、そのシステムをより早く、安く構築できる開発力を持ったベンダを選定することで、良いシステムを手に入れることができました。具体的には詳細なシステムの要件をRFPとして提示し、複数のベンダから提案を受け、提案書、プレゼンテーションを評価し、ベンダを選定するというやり方です。このやり方では、現場へのヒアリングによって現状の業務と課題を分析し、これをもとに新規業務を考え、詳細なシステム要件としてまとめる。このようなスキルが求められていました。

一方で、カスタマイズを最小化するパッケージ導入においては、適合度の高いパッケージシステムを見つけてきて、パッケージシステムに業務を合わせていくことになります。具体的には、システムの要件をRFPとして提示し、適合度の高いパッケージを選び、そのパッケージについてのフィット&ギャップ分析(※)を行います。ギャップについては、業務をシステムに合わせるのか(業務見直し)、システムを業務に合わせるのか(アドオン開発)を決定していきます。なるべく業務をシステムに合わせ、アドオン開発を少なくすることで、早く、安くシステムを導入することになります。

ここでのポイントは、RFP作成においてどのように業務を行うかの詳細な業務フロー、詳細な業務要件、いわゆるHow toの部分までは定義する必要はないということです。How toの部分は結局、パッケージシステムに合わせることになるので、定義しても無駄になります。また、How toを定義してしまうことによって、ベンダはそれに合わせアドオン前提の提案をしてくるかもしれません。結果的に割高な提案を受けることになってしまいます。ここで求められるスキルは、適合性の高いパッケージシステムを選ぶという目利きのスキル、そしてパッケージシステムの機能で何とか業務を回すという業務設計のスキルになります。

このように、「望むシステムを作ってもらう」から「既にあるパッケージシステムを使いこなす」という調達の変化が起きているのです。

2017年7月

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(※)フィット&ギャップ分析・・・パッケージシステムを導入する際に、パッケージシステムの機能と導入企業の業務がフィット(適合)しているか、ギャップ(乖離)があるかを分析すること。近年ではクラウド型のパッケージシステムも増えており、実際にシステムを動かしてフィット&ギャップ分析を実施する例も増えている。