2016年5月23日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~RFP作成や要件定義の時に欲しい「社長の一言」~

システム調達に必要なRFP作成、そしてシステム構築の最初のフェーズである要件定義、この2つの作業にはエンドユーザーの参加が不可欠です。実際に業務を実施し、現行システムのユーザーから直接話を聞くことは、要求や要件を洗い出したり、取りまとめたりする上でなくてはならない作業だからです。エンドユーザーにはインタビューやブレーンストーミングなどの形式で、協力してもらうことになります。

システムを構築する側、つまり情報システム部門やITベンダーの側からすれば、将来、実際に新システムを使って業務を行うのはエンドユーザーだから、RFP作成や要件定義に協力するのは当たり前のように思います。もちろん、その「当たり前」という考え方は間違いというわけではありません。しかし、当のエンドユーザーは「当たり前」と考えていない場合がしばしばあります。「それは情報システム部さんの仕事じゃないの?」、「我々はシステムのことはよくわからないから、お任せする」といった対応のエンドユーザーもいます。また、必要な作業であることはわかっていても業務が多忙であったり、あらたまってインタビューされることが面倒だと感じて、なかなか気持ちよく協力してもらえない場合も少なくありません。だからといって、エンドユーザーの協力無しに、情報システム部とベンダーだけでシステムを構築してしまうと、受け入れテストや本番稼働時に必ずエンドユーザーから「使いにくい」、「業務とマッチしていない」とクレームが続出してしまいます。

いかにしてエンドユーザーに前向きに協力してもらうか?そこで大きな力をはっきするのが社長の一言です。

「今回のシステム構築は社員全員が総力を挙げて取り組む全社プロジェクトである。全社員がプロジェクトに全面的に協力するように」

この一言があると、状況はまったく変わります。情報システム部やベンダーの仕事がやりやすくなるだけではなく、システムの品質が向上します。情報システム部に言われて嫌々やるのと自分達の課題と自覚して対応するのではまったく要求の内容が異なります。また、受入テストにおいても、真剣さが違ってきます。

中小企業の社長はシステム構築プロジェクトの際に、ぜひこの一言を全社に発信してもらいたいと思います。

2016年5月