2014年10月27日

【RFPコンサルタントの日常】

~思い付きにも目的が隠されている~

1.発端

同窓会ではないが、最近久しぶりに古い友人達と会う機会があった。宴もたけなわになった頃、お手洗いから戻った私は、ある友人から相談を持ち掛けられた。

2.ホームページを立ち上げたい

その友人は(便宜上Aとする)不動産会社を営んでいる。家族経営の小さな会社である。Aは「会社のホームページを作りたい」と言った。よくよく聞いてみると状況は下記であった。

・ 当然のことながら、現在までホームページはない。

・ 今の時代、小さな会社でもホームページぐらいないと恰好がつかない。

・ ITに詳しい人が会社にいないので、どこかに頼もうと思う。

さらに「謝礼するので、作ってほしい」という。

とんでもない、私はWEBのプロではない。仮に作れたとしてもプロとしての品質を保証できない。そしてそんなものを提供するわけにはいかない。

3.目的とは

話はさておき、ここまで聞いていて疑問が生じた。ホームページを作る目的がわからない。Aに聞いてみるとそのままズバリ「思い付き」とのこと。特に戦略等に則ったものではないという。とはいえ最初は思い付きであっても、裏に目的が隠されていることが多い。

目的を具体的にするため、いくつかの質問をした。

質問:「物件の公開などは考えているか?」

回答:「そこまでは考えていない。」

質問:「お客様からの問い合わせを受け付けるのか?」

回答:「メールアドレスと電話番号は載せたい。」

質問:「どんなホームページを考えているのか」

回答:「お客様からの連絡手段、および店舗のアクセス方法が分かればいい。」

これだ。目的はお客様を店舗へ誘導することである。物件を探しているお客様が、Aの会社のホームページを見て店舗に訪れるようにすればいい。

この目的についてAも同じ考えだった。ホームページ制作会社にはこの目的を告げるよう、この目的の効果に見合った金額か確かめるように言ったところで、この話は終わった。

4.酒席を終えて

結局Aはホームページを立ち上げなかったようだ。経緯は聞いていないが、費用対効果が芳しくないと判断したのかもしれない。あるいは面倒になったか。(面倒というのは、効果に対して人的コストがかかることを指す)

ともあれ目的は言わずもがな重要である。この目的が定まらなければ効果はわからず、いくらお金をかけていいかもわからない。システムの調達もしかり、日常生活もしかりである。

例え思い付きによる衝動買いでも、一歩考えを進めて目的を定義することが重要である。

2014年10月