2022926

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

Windows11リリースからほぼ1年経ちました

Windwos11が2021年10月5日に正式リリースされてほぼ1年となります。

いまのところ、自分のまわりではOSプリインストールで新規に出荷されたもの以外では、自宅で常時起動させて放置してあったPCが気が付いたら自動アップグレードされていましたが、その他では遭遇していません。世間的にはどれくらいアップグレードをしているものなのでしょうか?

Windows10へのアップグレードの際は、ハードウェアの要件の縛りが緩かったので「え、これも大丈夫なの?」と思うくらい古い10年以上前のPCでもアップグレードできるものがありましたが、Windows11はインストール可能なハードウェア要件がこれに比べると過激なくらい厳しくなりました。2018年以降のPCでなければそもそも対象外ですが、この要件が足かせになって自動アップグレードが可能な製品が少ないのが現状です。加えて最近のPCは結構長持ちするので、メモリを8GB以上載せてあげればアップグレード対象外のPCでも、むやみに重い処理をさせなければ業務に耐えてしまい、利用期間に縛りがあって時期がくれば更新されるリース品でなければリプレースされずに現役のままということも影響しているかもしれません。

もともとWindows10をリリースする際にマイクロソフトはこれが最後のバージョン番号になり、このバージョンのまま更新を続けていくと発表していましたが、2点(※)を備えていないと、Windows10リリース以降に発覚してハードウェアレベルのセキュリティ脆弱性を回避するにはWindowsが要求するセキュリティレベルを満たすことができないため、新たなバージョンとして仕切り直すためにWindows11のサポート要件を絞ったと説明しています。

(※)・セキュアブートとTPM2.0を備えたUEFIファームウェア

   ・CPUは、AMDはZen+以降、Intelは第8世代Core以降

相応のセキュリティ機能を備えていないと、Windowsのソフトウェアレベルではセキュリティレベルを維持できないためという理由付けについては理解できるものではありますが、そういって切り捨てたハードウェアとWindows10については詰まるところ「さっさと使うのをやめるか買い替えてくれ」と宣言していると言って間違いないでしょう。しかし、利用者側としては「メーカーさんがそうおっしゃるなら」と現在使用中のPCを即座にリプレースするわけにもいかないので、マイクロソフトにセキュリティレベルで担保できませんと切り捨てられたシステムの利用を続けざるをえません。Windows10のサポートは2025年まで継続され、セキュリティ対応のアップデートが即座に終了するわけではありませんが、潜在的な脆弱性を抱えたシステムが世の中に大量に存在するといことをメーカーサイドがアナウンスしている一面もあり、もう少しうまいやり方がないのだろうかと考えてしまいます。

システムの運用サポートをする立場としては、こういったリスクを抱えているので早々にリプレースしましょうと提案する材料にすることができ、定期的にこのような積極的な陳腐化が起きるのは商機とも言えます。しかし、利用者の立場で見るとよそ様の都合で出費が必要になるやり方はしんなりと納得できるものではないという気持ちも残ります。

2022年9月