2016年12月5日

【失敗しないシステム導入】

~選ばれる営業の条件とは?~

通常、ベンダ選定フェーズにおいて、ベンダ側の窓口となるのは営業担当者です。ベンダの熱意、姿勢がベンダ選定における評価項目の一つになる場合が多いですが、その評価の大部分を営業担当者が担っていると言っても過言ではありません。それでは発注側企業はどのような視点で営業担当者を評価しているのでしょうか。

打合せ時間・提案書提出期限・提案書提出要領などの約束事を守る、メールなどのレスポンスが早い、対面・メールでのコミュニケーション能力が高いといったことは最低限の条件です。受注を勝ち取るためには、最低限の条件をクリアした上で、他社よりも良い評価を得る必要があります。そのための条件を以下に挙げます。

1.自社の製品、技術に詳しい

残念ながら自社の製品・技術に不勉強な営業担当者が少なくありません。一人で打合せに来て、製品・技術の話になると答えられず、持ち帰る。もしくは技術担当者を何人も打合せに連れてきて、その都度、技術担当者に質問する。これでは、コミュニケーション効率が悪くなってしまいます。また、プロジェクトが始まってからは、現場だけでは解決できない課題を営業担当者に相談することがありますが、自社の製品・技術に詳しくないのでは、頼りになりません。

自社の製品のデモンストレーションは一通りでき、質疑応答なども対応できるくらいの知識は持っておいて欲しいものです。

2.顧客の費用対効果を常に考えている

提案活動において、確かに金額は重要ですが、「これだけの作業をするので、これだけの金額がかかります」と費用の説明だけで終わってしまっている営業担当者が少なくありません。それに対し、「これだけの効果があるので、これだけの金額を投資するのは妥当です」という費用対効果まで説明してくれる営業担当者は自ずと評価が高くなります。

極論すれば、ベンダ側は費用対効果を無視して巨大なシステムを作れば、売上が上がり、利益が増えます。ベンダ側には費用を抑えようとするインセンティブが働きづらいのが実情です。費用対効果を考えるのは根本的には発注側の役割ですが、ベンダが費用対効果を意識してくれるかどうかは大きな差別化ポイントとなります。

あるユーザ企業のシステム担当者に聞いた優秀な営業担当者の話ですが、その営業担当者は、打合せの場で具体的な、KPI、平均単価、売上数、売上金額などの事実データを次々に質問してきたそうです。そして打合せが終わると、その日のうちに費用対効果を算出したExcelシートと、2年で回収できるので今すぐ投資すべきですというメッセージの入った提案書を送付してきました。他のベンダの営業担当者が、ただ積み上げたコストを見積金額として提示する中で、この営業担当者の行動は他社との差別化ポイントになったということです。

ベンダが思っている以上に、営業担当者が受注の成否を占める割合は大きいので、良い提案のはずなのに何故か成約率が上がらないという課題を抱えている場合は、上記の視点で営業担当者の育成に力を入れるのも一つの対策でしょう。

2016年12月