2022年125

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

古くて新しいペーパーレスという課題


皆さんの会社はペーパーレスの取り組みは進んでいますか?コロナ禍の影響もあり、テレワークが普及しています。会社全体の「脱ハンコ」の流れも強まっています。さらにインボイス制度と電子帳簿保存法という大きな法改正もあります。こういった外部要因もあり、会社が扱う紙の文書を電子化する動きが加速しています。ペーパーレス化に二の足を踏んでいた会社もそろそろ取り組まざるを得ないのではないでしょうか。

ただ、「紙の文書を電子化する」という課題自体はずっと前から企業が抱えてきたものであり、IT導入の目的の一つとされてきました。筆者がIT業界に入った30年以上前にすでに「企業のペーパーレス化」は叫ばれていました。それが最近のDX=デジタルトランスフォーメーションのブームによりまた表に出てきて脚光を浴びているといってよいでしょう。ベンダー各社のキャッチコピーは「DXの第一歩はペーパーレスから」といった内容のものが目立ちます。まさに会社にとってペーパーレスは古くて新しい課題なのです。

30年前と現在のペーパーレス化の違いはなんでしょう。

ペーパーレスを実現するための技術は大きく進歩しています。以前は紙の文書を単にデジタル化するペーパーレスが主流でした。その目的は紙代や印刷コストを削減することでした。しかし、DXで目指すペーパーレスの目的は業務改革です。目的は次の3つです。


「検索性を高めることで業務効率化し、探すのに使っていた無駄な時間を削減する」

「テレワークに対応し、いつでもどこからでもデジタル文書にアクセスできるようにする」

「あらゆる情報をデータとして活用し、経営に役立てる」


この3つの目的実現のためにベンダーが持つ最新技術、すなわちD(デジタル)を駆使する一方、事業改革や業務改革を達成するX(トランスフォーメーション)をユーザー側が主導する必要があります。単にITツールを入れただけではDXによるペーパーレスといはいえないのです。

ですから今ペーパーレス化に取り組むのであればIT部門だけでなく、経営層や総務・人事・経理部門、さらに事業部門が協力して取り組むことが求められます。会社のすべての部署の主体性が不可欠なのです。この全社一丸の取り組みがないと劇的な「X(トランスフォーメーション)」は望めません。

2022年12月