2015年8月10日
【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】
~システム企画の手順と方法(各ステップの内容①)~
これまで、システム企画の全体像とシステム企画書の書き方について述べてきました。次に、全体像の中で示した各ステップについて、考え方と方法を記していきます。
システム企画の全体像=システム化構想とその具体化
1.目的及びシステム化範囲の明確化と共有
2.概要計画の作成
3.調達フェースへの橋渡し
1.目的及びシステム化範囲の明確化と共有
目的及びシステム化範囲の明確化とは、経営目的を達成するためにITを適用する領域を決めるということです。
企業は変化する環境の中で競争優位を獲得するために向かうべき方向と行き先(目標)を定め、そこへ到達するための戦略を立て、実行しようとします。この時、戦略を実行していくうえでの問題(理想と現状のギャップ)と課題(問題を解決するために行うこと)に対するわけですが、一つの企業が持てる資源には限りがあるため、優先的に取り組む課題を決める必要があります。システム企画はその取り組みの中でのIT適用と活用を企画することです。
優先的に取り組む課題の選択については割愛しますが、システム企画の対象となるものの検討・選択の考え方としては、
① ITを適用して効果が上がると期待されるものを対象として選ぶ
② ①ほど簡単にIT適用が効果的であるとわからないが、対象業務プロセスの中でどのようにITを活用できるかを検討して対象として選ぶ
ということになります。
さらに考えを進めたときに頭に浮かびやすいのは、
「ITなしでは情報の取得と活用が困難または不可能である」
「情報流量が多い」
「現状における作業負荷が高い」
ものを対象とするということではないでしょうか。
情報処理やプロセス改善の観点からは、上記のものが有力となるのは間違いありません。しかし、ここではもう少し手前から考えて、経営戦略実行上の意思決定を要する投資対象としてどうかを検討することが、企画フェーズでのIT適用領域の選択において重要な要素としてあります。
始動原理は「顧客価値創造」です。考えているIT適用によって、例えば、
◎ 製品やサービスの質が上がる
◎ 原価が下がり、販売価格が下がる
◎ デリバリータイムが短縮される
などが実現され、顧客に対する提供価値が創造され、顧客満足度が向上するものでなければ、経営戦略実行上の意義は大きなものとなりません。
2015年8月
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※ 関連コラム 【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「システム企画の手順と方法(各ステップの内容②)」 (2015年9月24日)
【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「システム企画の手順と方法(各ステップの内容③)」 (2015年11月2日)