2014年8月11日

【RFPコンサルタントの日常】

~太陽光発電システム編~

1.RFP的思考が日々の生活の助けとなる。

RFPを利用したベンダー選定に携わっていると、日常生活においてRFP的思考が働くようになる。当社の考え方で言えば「何を、いくらで、いつまでに」などの考え方を活用して、買い物をするようになる。いい買い物ができるようになり、結果としてRFPのトレーニングになる。

昨年、自宅に太陽光発電システムを導入したが、これはまさにRFP的思考に基づいての買い物であった。

2.太陽光発電システム導入の主旨

太陽光発電システムの発案者は妻である。私ではない。妻の意図としては「太陽光発電システムを導入して、光熱費が下がればいいな」という漠然とした内容であった。しかし漠然とした意図と裏腹に強固な意志があり、妻の両親を巻き込むなど抜群のリーダーシップを発揮して企画を進めていった。私に相談があったのは、外堀が埋まった後のことだった。よくよく妻の意図をヒアリングしてみると下記のようになった。

2.1.導入の目的

◎高熱費を太陽光システムのローンより抑えること

◎オール電化:ガスコンロよりIHに変更し、火を扱わずに調理可能とするとともに清掃を用意にすること

◎遮熱効果:屋根を太陽光パネルで覆うことにより、断熱効果を高め、夏場の2階を快適にすること

3.一括見積サイトを活用した情報取得(RFI)

主旨は判明した。しかし太陽光発電システムについて私は何も知らない。WEBで調べるも、すぐに限界がきたので、業者に聞くこととした。幸いにも太陽光システムには一括見積サイトなる情報取得サイトがあったので活用してみた。この段階はRFI(情報開示依頼)に相当する。10社程度の回答があった。当然すべての業者と会っている余裕はない。10社の平均価格から逸脱している業者をはじき、そのうえで対応の良し悪しで順位をつけ、3社と会ってみることとした。

4.情報取得のための業者面談

結果からいえば、情報収集のための面談は1社でよかった。3社とも情報量に差がなかったためである。しかし、情報量の差がないことが分かったのが大きかった。3社ともに「我が家の屋根の傷み」について言及していたからである。屋根が傷んでいるので、太陽光パネルを置いた後、屋根の補修が難しいということである。この話を3社から聞けたことで情報の信頼性が高まった。また、太陽光パネルだけを導入するより、蓄電池システム・エコキュートを同時導入したほうが、補助金交付が多いことも分かった。安くなるまではいかないが、ほぼ同等の金額で蓄電池システム・エコキュートを導入できる。

5.RFP作成

情報が取得できたので、RFPを作成する。といっても下記のような簡易的なものである。

5.1.目的

◎太陽光発電システム及びエコキュート及び蓄電池システム導入による、光熱費の削減。

◎傷んでいる屋根を遮熱効果の高いものへ張替え、夏場の室内を快適にする。

5.2.要求事項

◎太陽光パネルの発電容量は240kwとする。

◎HEMSなどにより電気の流れを可視化。管理できるようにする。

◎保守に関しては10年以上とする。

5.3.スケジュール

2ヶ月後の9月第一週に竣工とした。夏版お発電効果と遮熱効果を確かめたかったため、夏が終わる前に竣工完了させたかった。

5.4.コスト

記載せず。ただし太陽光発電システムと蓄電池システム導入については、10年程度で利益が出る程度と記載した。

6.業者選定

簡易RFPを踏まえて、業者の提案。C社に決定した。

6.1.A社

大手。太陽光・蓄電池・エコキュート・屋根の張替ともに価格は最も高い。残念ながら試算では10年で元を取ることができない価格であった。

6.2.B社

価格は2番手。

6.3.C社

価格が最も安い。北側の太陽光パネルをなくすなどして価格を抑えていた。

7.総括

今回、発案が妻だった。私自身は「太陽光発電システムによるコスト減」について懐疑的であったため、自身のモチベーションが弱かった。しかし結果としていい買い物ができたと確信している。試算では目標の10年償却をクリアし、室内の温度も以前より快適となった。唯一お風呂のシャワー圧が若干弱くなったのが気になるが、高圧シャワーヘッドをつけることによって解決した。

私は太陽光発電システムのプロではない。しかしITシステムの調達で培ったノウハウにより物の買い方を知っている。しかし、日常の買い物と業務システムの導入とでは規模が異なる。今回の太陽光発電システムは簡単だ。利害関係者は1名。要求も単純なものだ。システム導入の際は利害関係者は場合によっては数十名に及び、数えるのが大変なくらい要求がある。システム導入の際は、少し勉強した程度の付け焼刃ではなく、ITと調達のプロに任せたふが無難であろう。

2014年8月