2023年626

【失敗しないシステム導入】

業務フローを作成する際の注意点とは?~


システム導入の要件定義フェーズでは業務フローを作成します。業務フローではどの業務でどのシステムを使うかを整理します。

いつ、誰が、何をもとにシステムにデータを登録するのか

登録されたデータはいつ、どのように加工されるのか

システムのデータはいつ、誰が、どのような形で(画面、帳票、ファイル)利用するのか

などです。

 

大昔のシステム導入では業務フロー上に出てきたシステム機能を全てスクラッチ(ゼロからオーダーメイド)で構築する場合がほとんどでしたが、近年のシステム導入ではそのようなことは稀で、一部をパッケージ製品やSaaSで実現したり、一部は既にシステム化されていたりということで複数のシステムを組み合わせて業務要件を実現することがほとんどです。

 

今回は、複数のシステムを組み合わせて業務要件を実現する場合の業務フローを作成する際の注意点について説明します。

1.システム間のデータの流れを描く

システム間でデータの連携が発生する場合には、業務フロー上のシステムのアイコン間に矢印を引き、データの流れを描きましょう。データの流れを描かないとデータを登録したいタイミングでマスタデータが連携されてこない、データを利用したいタイミングでデータが連携されない、というような業務フローを描いてしまう可能性があります。業務フローが絵に描いた餅にならないよう、どのシステムからどのシステムへいつデータが連携されるのかを明確にします。

 

システム間の矢印だけでなく、そこでどのようなデータが流れるのかを具体的に記載しておくとさらに良いでしょう。ある人は予約データが連携されると思っていたが、ある人は顧客データが連携されると思っていたという思い違いを防ぎます。また、システムのアイコンにはシステム名でなく、システム機能を記載するとより正確になります。

 

2.システム間連携図を作成する

業務フローとは別にシステム間連携図を作成しましょう。あるシステムが複数の業務フローに出てくるということがよくあります。ある業務フローで「システムAからシステムBにこのようなデータを連携する」、別の業務フローでは「システムBからシステムAにはこのようなデータを連携する」というように個別に要件定義を進めていくと不整合が発生する場合があります。このようなことを避けるために、業務フローとは別にシステム間連携図を作成し、システムの視点でどのようなデータが連携されるのかを整理して、業務フローの整合性を担保します。

 

以上のことに留意することで、複数システムを組み合わせて業務要件を実現する場合に品質の高い業務フローを作成することができます。

 

2023年6月 

【石井健作のコラム】

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