2017年12月4日

【RPAコンサルタントの日常】

~業務プロセス改善の勘所 自己流作業の解放~

自己流作業とは

業務の定型化、標準化、あるいはシステム化を試みる際、必ずといっていいほど立ちはだかる壁がある。ユーザーによる自己流作業である。典型として、以下のようなものがある。

● 独自に作ったExcelマクロを駆使した作業

● AccessやFileMaker等を用いて行う独自の情報処理

● 正規の手順ではないプロセス作業

自己流作業の「機能」としては以下のようなものが多い。

● システム間の連携

● システム機能でできない機能の補完

●システムのプロセスと実務のプロセスの差異の補完

それらの発生の経緯は、分類してみると以下のようなものがある。

● 業務を担当するユーザーが自ら苦心して作り上げた芸術品

● 前任者が作った自己流作業が伝承され使い続けている伝統工芸品

これら芸術品、伝統工芸品は、中身が分からずブラックボックスと化した作業も多い。

自己流作業は手ごわい

これら自己流作業は業務の定型化、システム化にとって難敵になる。その理由はこうだ。

ユーザーは自己流作業を愛しており、そのやり方を心理的に変えたくない、のである。その心理とは、執着、依存、あるいは変化への恐れなどがある。苦心して作り上げた自己流作業は苦労しただけあって現在のところ最適化されている。という自己流作業への自尊心からくる執着。継承された自己流作業の場合は、このやり方以外に考えられないという依存。そして、共通するのは変化への恐れである。たとえ自己流がよろしくないと頭では分かっていても、変えることによって業務が回らなくなるのではないか、変えることに労力がかかるのではないか、あるいは上司先輩に変えることを提案したらピシャりと却下されるのではないか、といった恐れがある。ユーザーが心理的に変えたくないと思っている以上、自己流作業が業務標準化の試みの前にはだかった時、強制力をもって変更させるのは得策ではない。そうやって潰した自己流作業は、近いうちにゲリラ的に復活している可能性がある。たとえが悪いが、雑草を刈り取っても地面にある根っこがある限り、また草は生えるのである。

自己流作業を解放する

かといって自己流作業をそのままにもしておけない。そのユーザーしか分からない属人的な作業に依存するには業務継続的にリスクがある。またその自己流作業が伝承、伝播して少なくはないユーザーが中身も分からず使用している状況は恐ろしいものがある。

自己流作業は、とことん解きほぐすことをお勧めする。その自己流作業が何故起こったのか、何故続いているのか、丁寧に解いていくと根本原因に到達する。いろんな理由があるだろう。もしかしたら最初の理由は忘れ去られており、改めて考えなければいけない場面もくる。そうやって自己流作業をひも解いて、原因や理由に到達したとき、真の問題が見えてくる。その問題こそが真に解決すべきことである。このひも解きは、ぜひユーザーとともに行ってほしい。そうすれば自己流作業の原因を共有でき、ともに考えることで解決策を導き出せるだろう。ユーザーもいつの間にか自己流作業の執着心が薄れ、別の手段でも大丈夫と作業への依存がなくなり、変化にたいして勇気を持てる。

ユーザーを自己流作業の縛りから解放してほしい。解放しなければ定型化、標準化、システム化は真の意味で成功したとは言えない。定型化、標準化、システム化の強制力のもと、新たな自己流作業が生まれ、育まれるのだから。

2017年12月