2019年9月17日
【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】
~対立状況へのアプローチ~
相手と対立する状況に遭ったときの対応には、さまざまなアプローチと代替案の選択があります。桃太郎と帝は対立状況に対峙して、戦争を選択しましたが、PMBOKには対峙の他にもいくつかの対応法が紹介されており、それぞれの内容とともに、効果が期待できる場合について、注意点について記されています。今回はPMBOK第6版によってそれらを概観し、次回以降、選択した方法の進め方について考えてみたいと思います。(PMBOKは日本語版を見ずに、できるだけ片仮名を使わずに書いているため、日本語版の訳と異なるところがあります)
withdraw/avoid(撤回・回避)
対立はそのままに立ち去る。
対立に関わることの拒絶を含む。
対立を可能な限り無視する。
その時、その場での解決を放棄する。
対立状況についてのよりよい理解を得るために冷却期間が必要とされる場合に適する。
対立の当事者が双方とも消極的で非協力的である場合に適する。
時間に余裕がなく差し迫った場面、プロジェクトの成功裡の完了が求められる場面には向かない。
受動的で暫定的な方法であり、一般的には問題解決には失敗する。
smooth/accommodate(鎮静・適応)
相違点ではなく共通点を重視する。
譲れるところを探す。
調和を保ち、対立状況の表面化や激化を回避する際に適する。
個人的な立場や自分が属する集団の希望の実現よりも、事柄が重大である場合に有効である。
短期間であれば平穏を保つことができるが、恒久的な解決にはつながらず、多くの場合対立は別の形で再び出現する。
一時的な状況の進展を抑制する効果があるが、問題解決には向かわず、計画から逸脱や遅延につながる傾向がある。
対立の適切な時機での取り扱いと解決がなされない場合、将来さらに過酷で困難な対立を招く可能性があることに注意が必要である。
compromise/reconcile(妥協・和睦)
双方が対立に関係する要素の取り扱いについて得失評価を行って取引する。
いずれの側も勝利を目指すのではなく、両者がある程度の満足度を得られるような解決を目指す。
重要なものを部分的に諦めることから双方とも一時的には傷ついたと感じるが、受け入れ可能な解決策に至ることが多い。
妥協が選択されることの問題は、個人的な目的達成のめにプロジェクトの重要な要素が妥協されてしまう可能性があることである。
force/direct(強制・統制)
権力や支配力等、地位の力を行使して、一方が他方を圧倒する形で一方の意見を押し付ける。
他方に犠牲を強いる。
取引や交渉のための共通の土台がない場合、そして両者が非協力的で強い意志を持っている場合に用いられる。
決定権限を持つ者は、対立状況への対処にかけられる時間がないとき、その課題がプロジェクトの健全な存続の生命線であるとき、与えられた情報が正当で十分であると感じたとき、事を進めるために危険を冒してこれを行う。
忌避されやすい課題、たとえば予算削減や異例の抜擢、人員整理等には有効である。
強制は妥協や交渉に比べて時間がかからない。
しかし、強制されるとは関係者に辛い感情を抱かせる。
強制による解決は、後になって問題の再燃を招くかもしれない。
他のすべてのアプローチに優先させるものではなく、奥の手として使われるべきである。
collaborate/problem solve(協力・問題解決)
異なるものの見方をする人々の複数の視点や意見を取り入れて結合する。
問題の明確な定義、解決のために必要な情報の収集、代替案の案出と評価を行って、目的と状況に照らして最善の代替案を選択する。
妥協によって解決するには重要度が高すぎる場合に有効である。
当事者にとっては、他者から学ぶ好機となる。
解決に向けての能動的な協力は、合意や関与を行いやすくする。
双方が相互に受け入れ可能な解決を探る意思がある場合に有効である。
意思決定に参加する者が多い場合、各人の視点に共通の部分が少なく、相互排他的である場合には有効ではない。
このアプローチを採る場合、与え、受け取る姿勢、相当程度の率直な主張を協力的な姿勢が求められる。
2019年9月