2023年9月19

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

ChatGPTを業務で使うか、禁止するか。社長は決断を迫られる


BlackBerry社の調査によると日本企業の72%がChatGPTなどの生成AIアプリケーションの職場での利用について禁止または禁止を検討しているそうです。またそのような禁止措置について、58%が長期的または恒久的なものになると回答し、顧客や第三者のデータ侵害、知的財産へのリスク、誤情報の拡散などが判断の理由になっているとのことです。


一方でChatGPTなどの生成AIアプリケーションがイノベーションを高める(54%)、創造力を強化する(48%)、効率性が高くなる(48%)といった肯定的な評価も同時に出ていることが興味深いです。わかりやすく言い換えると「得体のしれない危険性をはらむのだが、威力は抜群かもしれない」といった感じでしょうか。

AI(人工知能)に関してはその急速な進歩に伴い、その危険性がクローズアップされるようになりました。古くからのSFにあるような「AIが人間を凌駕し、やがて人間はAIによって支配されてしまう」という恐れが、まんざら絵空事ではなくなってきているのではないかという懸念です。国連の安全保障理事会でもAIをテーマにした初めての会合が開かれ、グテーレス事務総長は「善と悪の両面の可能性があり、いま、リスクに対処しなければならない」とコメントし、AIのリスクを管理するための国際的なルール作りの必要性を訴えました。

 

日本企業に話を戻しましょう。7割の企業がChatGPTの業務利用禁止ということは、逆に3割の会社は禁止しない、つまり利用する可能性があると言うことです。会社の安全を考えるなら多数派である禁止をおこなうことになります。横並び意識の日本ではまわりに合わせる、というのは危機管理の最初の一歩かもしれません。


しかし、ChatGPTを3割の会社が業務利用するとなると、その3割の会社が業務効率化やイノベーションの果実を手に入れて、業績を大きく伸ばすのではないか、という懸念も同時に持つ社長も多いのではないでしょうか。ビジネスのライバルは日本国内だけではありません。日本がAIの危険性を恐れて禁止している間に、他国の企業がAIを積極活用してDXを成し遂げ、日本企業に大きな差をつける可能性もあります。

 

中小企業の社長にとしては実に悩ましい問題です。どうするかは、社長が決めることです。もし、筆者にどうすればよいかと質問されたら、こう答えます。

「ChatGPTなどの生成AIは使うべきです。ただし、危険性の議論がある時期なので、社内で野放しに好き勝手に使わせるのはやめましょう。情報システム部門や企画部門、そして社長自身は利用しましょう。利用することで本当のリスクと効果がわかってくることでしょう。時代の流れとしてはAIの利用を止めることはできませんし、禁止したら時代に取り残されます。社長の目の届く範囲でまず使ってみることが肝要です」

 

2023年9月