2016年12月12日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム企画の手順と方法(調達フェーズへの橋渡し②)~

今回は「企画から調達への橋渡し」について、もう少し具体的にみていきます。そのために、まず、これまでみてきた「企画」の内容の受け渡し先である「調達フェーズ」における「調達の対象」を整理して、調達を適切に行うために、何を、どのように渡すかを考えてみます。

1.調達の対象

調達の対象は「システム開発(やその後の運用)に必要な資源」です。開発の場合で言えば、

開発対象(システムそのもの)/ 開発環境 / 開発要員及びそれらを入手・準備するための開発資金

となります。したがって、ここでの重要成功要因(CSF)は以下のとおりです。

(1)調達が適切に行われるために必要な情報を、適切な形で受け渡すこと

(2)調達対象を外部から調達する場合には、外部に開示する情報の範囲が明確になっているか、明確にしやすい状態であること

2.調達対象を社内から調達する場合

この場合は、企画フェーズの完了手続き(システム企画書の承認取得、調達フェーズへの移行の承認取得)を行ったうえで、原則としてシステム企画の内容をそのまま渡すことになります。調達フェーズでは、システム企画書(項目例:2014/11/10参照)にある「実現ステップとスケジュール」「推進体制」をもとに作業が行われることになります。

3.調達対象を外部から調達する場合

これは外部への依頼時の情報伝達のために前述の「1.(2)」が必要となります。開発の場合は、「外部に開示する情報の範囲」は、システム企画フェーズで検討・決定した内容のうち、外部依頼先に伝える必要があること、伝えていいことだけを抽出して伝えます。

自分たちで考えた企画の実現を外部の依頼先の知恵やスキルを得て行う際には、依頼先からの提案と作業参加を受けることとなりますが、この時に情報提供依頼書(RFI)と提案依頼書(RFP)が有効なコミュニケーションツールとなります。提案依頼書(RFP)の中では、ある程度は戦略要素を開示した方がいい提案をもらえる可能性が高くなります。システム企画には、企画の目的や範囲に応じて、経営戦略・事業戦略・全社IT戦略等の戦略要素が含まれています。これらを開示・共有することで、目的(戦略の実現)を達するための手段(ビジネスモデル及びビジネスプロセスを支えるシステム開発)を考えてもらいやすくなります。

これを、適切な質・量で伝えるわけですが、その時には以下のことを考慮します。

【質】

①提案依頼先に伝達する情報の精度と鮮度

②提案依頼先が競合他社の仕事をする可能性がある

【量】

①提案依頼書の分量が多すぎる(伝達情報が多すぎる)と、提案依頼先での読み取り負荷が高くなったり、提案作成時のノイズとなる要素が含まれたりする可能性が高くなる

②提案依頼先が多すぎると、発行や評価の負荷が高くなる

「適切な形で伝える」という意味では、提案依頼先との間で秘密保持契約を締結することや、提案依頼先が複数ある場合には、手続きや内容を共通・公平にすることに注意します。

2016年12月