2015年3月23日

【失敗しないシステム導入】

~プレゼンテーションで何を評価すべき?~

提案評価におけるプレゼンテーションの目的は二つあります。提案書のさらなる理解と、プロジェクトリーダの面接です。プロジェクトマネージャとプロジェクトリーダという用語は、企業によって使われ方が異なりますが、ここでは、プロジェクト専任のリーダをプロジェクトリーダ、複数のプロジェクトを掛け持ちしてマネジメントする役割をプロジェクトマネージャと呼び、区別します。

プロジェクトの成否は、プロジェクトリーダのスキル、経験に依る部分が多いのが現実です。どんなに実績のあるベンダであっても、また、優れたツール、方法論を導入してもプロジェクトリーダのスキル、経験が不十分であれば、プロジェクト成功の可能性は下がります。

提案書にプロジェクトリーダのスキルと経験を記述してもらいますが、コミュニケーションスキルなど直接、話さないとわからないことも多々あります。このためプレゼンテーションでのプロジェクトリーダの評価が非常に重要になります。

プレゼンテーションにおいて、どのようにプロジェクトリーダのスキルと経験を評価すれば良いでしょうか。

第一に、質問によって、プロジェクトリーダとしての経験を聞き出します。提案内容に関する質問とは別に、プロジェクトリーダとしての経験を評価できるような質問を準備しておきます。「貴方が考える当プロジェクトの一番のリスクは?」など教科書に正解が載っていない質問が望ましいです。このような質問により、プロジェクトマネジメントの資格は持っているが経験のない、いわゆるペーパードライバーを見つけ出すことができます。

第二に、上司との関係性を確認します。プレゼンテーションには多くの場合、プロジェクトリーダの他に、営業系の上司、プロジェクト系の上司(=プロジェクトマネージャ)が同席します。ここでプロジェクトリーダが上司に対してどのように振る舞っているかを観察します。

プロジェクトが始まると、営業面、プロジェクト面で様々な問題が発生します。このような場合にプロジェクトリーダには、上司と交渉してもらい、リソースの追加投入、メンバの変更などを勝ち取ってもらう必要があります。プレゼンテーションの場で、プロジェクトリーダが上司に対して、主導権を持って会話、行動しているか、いいなりになっていないか、上司の顔色を伺って発言していないか、を確認します。

第三に、プロジェクトリーダのコミュニケーションスキルを確認します。1対1でのコミュニケーションスキルはもちろんですが、特に複数対複数のコミュニケーションスキルを重視します。

プレゼンテーションでの質疑応答では、ひとつの論点に対して、質問側、回答側ともに複数人が関わり、会話が錯綜することがあります。このような場合に、プロジェクトマネージャが会話を整理して方向づけられているかを確認します。プロジェクトには利害の異なる関係者が参加します。これらの関係者の意見を整理し、方向づける能力を持っているかが重要です。

このような観点でプロジェクトリーダを評価し、優れたプロジェクトリーダを擁した提案を選ぶことで、プロジェクトの成功率を高めることができます。

2015年3月