2014年10月7日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~システム化の目的、対象、方法~

よいシステム企画の条件として挙げた2つめの条件「システム化の目的(why)、対象(what)、方法 (how)が記されていること」について記します。

2. システム化の目的(why)、対象(what)、方法 (how)が記されていること

ここでは、システム化の目的は「なぜシステム化するのか = why」、目的を満たすために作るもの(変えるもの)が「システム化の対象 = what」、対象の実現方法が「システム化の方法 = how」と考えます。

【why】---------------------------------------------------------------------

英語の「why」は日本語の「なぜ(か)」や「目的」と訳される語ですが、システム企画にあてはめて「なぜシステム化するのか」の答えにあたるところを概括的にいえば、「現在とは異なる状態(「あるべき姿」「ありたい姿」などと呼ばれることがあります)になるために」、そして「現在得られないものを得るために」という言い方になると思います。すなわち、システムを使ってどのようになりたいのか(状態)と何を手にしたいのか(成果物)ということです。たとえば、企業戦略であれば「企業を取り巻く内外環境とその中での活動に関わる情報を収集し、どの分野で事業を行うのか、またその事業にどのように経営資源を投入するのかを決めやすくしたい、そのための判断材料を適切なタイミングで入手したい」、事業戦略であれば「その事業の売上げ、費用、利益、顧客情報に関わる過去・現在・将来の予測情報が得られ、現状への打ち手と将来計画の精度を高めたい、そのための判断材料を適切なタイミングで入手したい」といったようなことです。

【what】---------------------------------------------------------------------

「what」は、上記を実現するために作るもの(変えるもの)にあたります。これは、システムとそれを利用するために行う業務プロセスの内容です。新しい(または変更された)システムの利用には現行業務プロセスを変更して新規業務プロセスを設計する必要が生じます。業務プロセスのどこがどのように変わって、どこでどのようにシステムの機能を利用することで、目的(why)を達成することができるのか、それを関係者と検討し、合意していきます。

【how】----------------------------------------------------------------------

「how」は、それを実現する方法にあたります。いつ、何を、誰が、どうすることによって「what」を実現し、「why」を達成するのかというのが、その内容となります。システムが作られて活用されるまでには、投資やプロジェクト進行の承認を行う経営者、新規業務プロセスを遂行する利用者、システムを構築する開発者のそれぞれが、さまざまな局面で意思決定や作業を行うこととなりますので、企画の段階でその見通しを描いておく必要があります。開発には外部事業者が関わる場合があり、この場合には提案依頼書(RFP)が作成されることがあります。

システム企画がよいものであるためには、その企画の実施が自分たちの目的達成のために効果があり必要であることと、そのために何を変えて何を作るのか、その実現方法と必要資源がわかり、「この企画を実施しよう」という判断ができるものであることが必要です。

2014年10月

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※ 関連コラム

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「戦略の実現とシステムの関係」 (2014年8月25日)

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】 「よいシステム企画の2つの条件」 (2014年7月22日)