2019年9月3日

【RPAコンサルタントの日常】

~CCPMの紹介~

プロジェクトマネジメントの考え方はいくつかある。プロジェクトマネジメントのデファクストスタンダードであるPMBOK、日本発祥のプロジェクトマネジメントの考え方であるP2M、そして今回紹介したいCCPMである。

CCPMとはクリティカルチェーン・プロジェクトマネジメントの略称で、エリヤフ・ゴールドラッドの制約理論に基づき開発されたプロジェクトマネジメントの管理手法である。クリティカルチェーンとはプロジェクト内の最も期間の長い工程をつなげたもので、A→Bが5日でB→Cが10日であった場合と、A→Dが5日でD→Cが5日であった場合、クリティカルチェーンはA→B→Cとなる。なお、クリティカルチェーンではないA→D→C間の工程をいくら削減しても納期には影響はない。

この手法の特色はバッファの取り方にある。人は計画を立てる際、計画の遅れを見越して各工程の期間にバッファを持たす。CCPMではこのバッファを各工程に持たすのではなく、プロジェクトの最後にまとめて持たす。各工程で出た遅延はこのまとめたバッファから消費する。具体的に言えば、各工程はABP(Aggressive But Possible)すなわち厳しいが何とかできる期間を設定し、HP(Highly Possible)すなわち正規の期間からABPを引いた期間を安全余裕として算出し、プロジェクトの最後にまとめる。(一般論で言えば、まとめた安全余裕の1/2がバッファになる)

このバッファの消費率から、プロジェクトの危険度を測る。バッファを消費すればするほど危険度は高くなる。逆に消費しなければそのプロジェクトは安全ということになる。

この手法の優れた点は、学生症候群やパーキンソンの法則を回避することができることにある。学生症候群とは、学生が期限ぎりぎりにならないと宿題に取り掛からないことから名づけられた事象で、例えの通り、期限直前にならないと課題に取り組まないことを意味する。パーキンソンの法則とは、「仕事の量は、完成のために与えられた時間をすべて満たすまで膨張する」というもので、転じて「想定より長い期間を与えてもその期間すべてを費やしてしまう」というものである。

思い当たる点はないだろうか。この2つの人的リスクを回避できるだけでプロジェクトの進捗は大分思い通りになるのではないだろうか。また、この考え方はプロジェクトだけでなく、日常生活にも応用できる。何かやらなければならないことがあった場合、CCPMを使えば無事期限内にやり遂げることができるだろう。普段の生活でも頼りになるので使用してみてほしい。

2019年9月