2022年920

【失敗しないシステム導入】

業務部門を巻き込むために必要なこととは?~


近年のシステム開発プロジェクトでは、対象となる業務部門が複数にまたがることがほとんどです。この時、全ての部門が同じように関わるわけではなく、主部門A、副部門Bのようにプロジェクトへの関わり度合に軽重が出てくる場合が多くなります。主部門Aは自然と主体性を持ってプロジェクトに臨んでもらえますが、難しいのは副部門Bです(副部門は複数になることも多いです)。副部門が主体性を持ってプロジェクトに臨まなかったために、後から要件漏れ・要件違いが判明して手戻りが発生する、ユーザーテストが不十分になるといった問題が発生することがあります。

このようなことを防ぐためには、副部門Bをプロジェクトに巻き込み、他人事ではなく主体性を持ってもらう必要があります。その際のポイントを以下にあげます。

1.部門代表者を決める

副部門Bの部門代表者を決めず、会議には手の空いているメンバーが入れ替わり立ち立ち替わり出席し、要件定義が終わった後に主要メンバーが出てきて要件をひっくり返すということがあります。このようなことを防ぐためには、部門の代表者を1名決めてもらい、その代表者には部門の代表として発言、決定に責任を持ってプロジェクトに参画してもらいます。この代表者が全てをプロジェクト会議の場で決める必要はなく、必要に応じて部門に持ち帰ってもらい、決めてもらっても問題ありません。重要なのは個人の意見ではなく、部門の意見としてもらうことです。


なお、業務理解が深く、課題意識があり、ITリテラシーが高いメンバーを代表者にアサインできるかがプロジェクトの成否の鍵となりますので、プロジェクトリーダーはこのアサインに心血を注ぐべきです。

2.情報共有を怠らない

副部門Bの部門代表者は、主部門Aや情報システム部門のメンバーとは異なり、全てのプロジェクト会議に出られない場合もあります。主部門Aや情報システム部門のメンバーとの情報に差が出てきて、主体性が失われる、間違った意見を言ってしまうといことがあります。これを防ぐためには、スケジュール(マイルストーンや進捗状況)、要件定義の内容などをこまめに説明、共有します。主部門Aや情報システム部門からするとこれまで検討してきた内容をあらためて説明するので二度手間と感じるのですが、この手間を省いてはいけません。

このようなポイントに気を付けることで、副部門をプロジェクトに巻き込み、主体性を持ってもらうことができます。

2022年9月

【石井健作のコラム】

▶ 失敗しないシステム導入