2018年6月4日

【システム企画~情報活用力を上げる仕組み作り】

~エネルギー投入率と仕事量~

先日、メルマガにあったリンクを辿っていて「会社の社是はF=ma」という記事を読みました。(http://toyokeizai.net/articles/-/3562

合板機械メーカーの名南製作所の設立者で、現取締役相談役の長谷川克次さんのインタビュ記事で、「機械はニュートンの法則でしか動きません。重い木材でも力をかければ動くし、加速度に従えばすごい加工ができる。だからF=maの方式で新しい機械を作ろう」ということで、F=maを社是とされ、「自然法則には誰も逆らうことができない。その下では社長も社員も同列。同列だから逃げ場がない。お互いが理解し合おうと努力しなければならない」として、その間、「“利益を上げよ”と一度も言ったことがないのに、幸運にも50年以上黒字を続けてこられた」ということでした。

F=maは、ニュートンの運動の第二法則(方程式)で、「力(force)=質量(mass)×加速度(acceleration)」を表しています。この方程式に項としてある「力、質量、加速度」は、また別の物理法則である「エネルギー保存の法則」と合わせて、前回(2018/04/09)の最後に記した「エネルギー投入率が仕事の効率(単位時間あたりの仕事量)を決める重要な要素である」にあてはまるところがあります。

「エネルギー保存の法則」は、19世紀ドイツの物理学者、フォン・マイヤーが発表したもので、「あるものの質量が変わらない場合、保有するエネルギーの量は不変である」ということです。(より正確には「孤立系においては、(エネルギーの形態が変わることはあっても)エネルギーの総量が変わらない」)物理学でいう仕事は、質量を持つ物体に力をかけて動かすこと(=Aとする)で、脳を含む身体器官を働かせて行う仕事(=Bとする)のすべてがこれと一致するわけではなく、等しいとは言えませんが、ここでは人間機械論的に「AにBが含まれる」と「BにAが含まれる」として進めてみます。

物理学では、仕事量は力と移動距離の積(W=Fx)で表されます。「仕事量=移動距離」ではないのは、動かす対象の質量によって仕事量が変わると考えるからです。(移動距離が同じであれば、動かす対象が重たいほど、仕事量は大きい)

●W=Fxより、

仕事をするためには力が必要で、力の大きさと仕事量(W)とは比例する。

●F=maより、

質量が同じであれば、加速度が大きいほど力が強くなる。

●力はエネルギーを投入・変換することで得られるが、エネルギー保存の法則より、

保有エネルギー(仕事に投じることができるエネルギー)の量は、質量の制約を受ける。

したがって、前回(2018/04/09)述べた「エネルギー投入率」(持てるエネルギーのうち、いつ、何に、どれだけの量を投入するか)が重要であると言えると考えますが、投入するエネルギーを仕事に効果的に生かすためには、さらに以下のことが必要です。

≫エネルギーと力は異なる

≫仕事量に直接影響するのはエネルギーを投入・変換して得られる力である。

ここからは、仕事量を大きくするためには、投じるエネルギーの量とともに、そのエネルギーを継続的に有効な力に変換する装置が重要であることがわかります。装置に該当するものは、仕事の目的・目標、環境、方法等です。

組織の場合、目的・目標はありたい姿としての魅力があって共有可能なもの、環境は「適正に合った職務」「職務の適切な遂行に必要なツール、トレーニング、リソース」「制度、文化」等、方法は細かく挙げれば種々の例示が行えそうですが「効率的な」「過誤や手戻り等によるロスが少ない」ものがあると考えます。いずれも、組織に属する者にとって、仕事を行いやすくして、意思や意欲を喚起して持続させる装置として働きます。

2018年6月