2020年6月1日
【失敗しないシステム導入】
~WEB会議の普及がシステム導入に与える影響とは?~
新コロナウィルス禍で在宅勤務、リモートワークが推奨されたことによる大きな変化のひとつはWEB会議の普及でしょう。WEB会議のツールが普及し、多くの人はWEB会議を経験しました。これまでは、どうしても対面で会えない場合の代替案という位置づけでしたが、WEB会議でできる場合はWEB会議でやろうという第一の選択肢になり、WEB会議は失礼という認識ではなくなりました。この流れは新コロナウィルス終息後も変わらないでしょう。
それではWEB会議の普及は、システム導入にどのような影響を与えるのでしょうか?
1 情報収集フェーズ
発注先選定フェーズの前段階として、情報収集フェーズがあります。採用する製品・サービスの情報を収集して、RFP(Request For Proposal:提案依頼書)を発行する候補を2、3社に絞ります。
具体的には5社~10社程度にRFI(Request For Information:情報提供依頼書)を発行し、情報を提供してもらいます。これまでは対面で打合せをすることが多かったのですが、WEB会議で代替されるでしょう。
わざわざベンダに来社してもらうよりWEB会議は気軽にできるので、ユーザ側は限られた期間でより多くのベンダから話を聞こうとするでしょう。1社あたりに与えられる時間はこれまでより短くなるので、ベンダとしては短い時間で自社製品・サービスの特長をいかに伝えられるかが重要になります。
2 企画、要件定義フェーズ
企画、要件定義フェーズではユーザにヒアリングをしながら進めていきます。これもWEB会議に代替されていくでしょう。WEB会議になると、より一層会議の効率性が重視されると私は考えています。
●入念な事前準備(会議形式で議論しなければならない事項のみ会議で行い、ただ確認すればよい事項はQA表などを事前に配布して回答する)
●会議内容のリアルタイムの可視化(マインドマップなどの活用)
●成果物の共有(オンラインで成果物を共有し、ユーザとベンダでリアルタイムに更新)
これらのことは今までもできたことですが、効率性重視の流れでさらに加速していくでしょう。
3 開発フェーズ
開発フェーズでは週次などでユーザとベンダとで進捗会議を実施します。これも基本WEB会議となるでしょう。そもそも開発フェーズの貴重な時間を使って、多くのベンダ側メンバーが時間をかけて移動し、一箇所に集まるのは非効率的でした。開発フェーズが遅延し、時間が取れないので、進捗会議をキャンセルするといった本末転倒な話もありました。
進捗会議が対面からWEB会議に移行するだけではなく、ユーザとベンダの進捗共有の仕方も変わってくると予想しています。週次で進捗状況を共有し、対応策を検討していたのでは手遅れです。リアルタイムで進捗を共有し、課題が発生すれば即座にWEB会議を開き対応策を検討する。このような望ましい形がWEB会議の普及によって実現するかもしれません。
WEB会議が一般的になり、これまで対面で行ってきた会議がWEBに移行していく流れが、新コロナウィルス終息後も変わらないでしょう。このチャンスを活かして、WEB会議への移行だけではなく、さらなる効率化を推進した企業と、単なるWEB会議への移行で終わってしまった企業の間の格差は広がっていくでしょう。
2020年6月