2017年2月20日

【ITの引っ越し~持っていけば動くわけではありません~】

~無線LANが当たり前になりましたね~

サーバルーム内では、各種機器の接続で無線LANを使用することは相当の理由がない限りまずあり得ないと思いますが、オフィス内のパソコンについては無線LAN接続が一般的といってもいいほど無線LANが普及するようになりました。

デスクトップ型であれば今でもオプションの外付無線アダプタを追加するのが一般的ですが、ノート型については結構早い時期から標準的な機能として無線LANアダプタが内蔵されるようになりました。とはいえ、2010年ぐらいまではたとえノートパソコンにその機能が備わっていても、オフィス内のネットワークレイアウトは有線のLANケーブルで繋ぐことを前提にしていたことが多かったように思います。無線が普及する前から構築されていたLANがあれば、既にLANケーブルが執務スペースに引き回されていることが大前提ですから、無線LAN付のパソコンを設置したとしてもそこに出ているLANケーブルを繋げば接続できたため、後付けで無線のアクセスポイントを設置しなくても特に困ることはありませんでした。特に普及当初の規格である802.11b(1997年)では規格上の通信速度が11Mbpsだったこともマイナス要因でした。

802.11bの規格上は実行速度11Mbpsですが、実際の速度は数Mbps程度に過ぎません。既に100Mbpsが当たり前になっていた有線LAN接続に比べるとかなり遅いもので、無線LANしかない環境であればともかく、実効で数10Mbpsの速度が期待できる100BASEの有線接続を利用できるならあえて遅い無線を利用する必然性はありませんでした。遅れて(1999年)公称54Mbpsで利用できる802.11aが登場し、802.11a/b両対応の無線LANアダプタが一般的になりましたが、802.11aの場合、使用する電波の周波数帯が気象レーダーが使う電波と干渉することが懸念されて積極的に採用するところは少なく、まだ無線LANを本格的に導入しようという流れには至らなかったようです。

2003年に802.11bの後継規格として公称54Mbpsの802.11gが登場してやっと本格的にネットワークのインフラとしてお勧めできるようになりました。とは言っても、有線接続環境が整っているオフィスであれば、やはり無理に移行をお勧めすることはしませんでした。一方で、オフィス移転でネットワークを新たに構築する場合にはプランニングの際の提案に加えることができるようになりました。加えてこの時期、エンドユーザが利用するパソコンとしてデスクトップ型よりもノート型を選択することが一般的になりました。オプション機器を増設しなくても無線LANを利用可能な端末ばかりであれば、各席までのLAN配線工事費が不要になることも移転費用抑制策として魅力です。加えて、最近では64Mbps~600Mbpsを謳う802.11nや292.5Mbps~6.93Gbpsを謳う802.11acなどスペック上は下手をすると有線よりも速度が出そうな規格が一般的になり、新しくオフィスのネットワークを検討する場合、無線LANの採用は当たり前の前提になりました。

2017年2月