2015年9月14日

【失敗しないシステム導入】

~成功するプロジェクトの条件とは?~

成功するプロジェクトの条件とは何でしょうか?

成功するプロジェクトは、ユーザとベンダ、情報システム部門の三者のベクトルが一致しています。この時、三者の力は最も効率よく合成され、プロジェクトとしてのベクトルは最大化されます。プロジェクトはゴールに向かってまい進していきます。

逆に失敗するプロジェクトは、三者のベクトルが一致しておらず、無駄が大きくなります。ゴールを間違えたり、納期を守れなかったりします。

かつて筆者が立て直しに入ったプロジェクトでは、最初に参加した進捗会議の場で情報システム部門のリーダとベンダのリーダが、二週間前の議事録のさほど重要でない場所の“てにをは”について長時間議論していました。貴重な時間をこのように無駄にしているプロジェクトが成功するがずがありません。

進捗が遅れてくると不安になり、お互いの箸の上げ下げまで口を出し、重箱の隅をつつき、自己保身に走るようになります。ベクトルが段々お互いの方を向き始め、プロジェクトは前に進まなくなってしまいます。

こうならないように情報システム部門は進捗が遅れている時こそ、三者のベクトルが一致しているかを常に意識し、バラバラになっているようであれば、その原因になっている作業、担当者を見つけ、対策を講じなければなりません。プロジェクトの状況を俯瞰して眺められる冷静な視点が必要です。

ベクトルがお互いの方ではなく、違う方を向いてしまっている場合もあります。三者がプロジェクト内容を合意、共有できていない時にこのようなことが起こります。

これを防ぐためには、プロジェクト内容、言い換えると目的、対象範囲、体制、納期、予算、進め方について三者で合意しておく必要があります。これらについての要求をRFPとしてまとめ、情報システム部門とユーザで合意し、ベンダに提示します。ベンダはRFPへの回答を提案書としてまとめ、情報システム部門とユーザに提示します。これらの作業を通じて、三者でプロジェクト内容の合意を進めていきます。

ユーザの合意なしに情報システム部門が勝手に作成したRFPでプロジェクトを進めると失敗します。RFPと提案書を通じて、ユーザとベンダ、情報システム部門の三者がベクトルを合わせて行かなければなりません。このためRFPは「合意形成のためのツール」とも呼ばれています。

プロジェクトを成功させるためには、プロジェクト開始前に三者のベクトルを合わせ、プロジェクト開始後には三者のベクトルにズレが発生しないかを常にチェックしていくことが重要になります。

2015年9月