2016年11月7日

【中小企業のIT投資は社長が仕切れ!】

~後継者の必須条件は経営にITを活用する意思があること~

現役の社長の大きな課題の1つに、事業継承があります。ベンチャーの20代、30代の社長なら関係のないテーマかもしれませんが、50代以上の経営者にとっては切実な課題です。中小企業の場合、後継者は子供や親族から選ぶことが多いでしょう。いわゆる同族経営です。同族経営にはメリットとデメリットの双方があり、特にそれ自体が問題というわけではありません。同族経営だからこそのメリットを活かして、長く安定した経営を行っている老舗企業もたくさんあります。しかし、逆に素行が悪い者、能力がない者を「長男だから」というだけで、後継社長にしてしまい、その結果会社を潰してしまうという悲劇も少なくはありません。

パワハラやセクハラを行う、あるいは会社の金と個人の金を区別しない、といった素行の悪い身内を後継社長にするのは論外です。そのような人を社長にするような会社は厳しい言い方ですが、淘汰されるのは時間の問題でしょう。このような素行の問題ではなく、能力の問題で社長が務まるかどうか見ていきましょう。

社長の仕事で一番大切なのは「決める」ということです。最終的な経営判断を下すのが社長の仕事であり、他の仕事は幹部や社員に任せてもよいでしょう。この最終的な経営判断を下すのは「勘・経験・度胸=KKD」ではいけません。もちろん100%ダメということではありません。時と場合によって理屈よりもKKDによる決断が重要な場面もあります。しかし、それは頻繁にあることではありません。日々の経営において重要な判断材料となるのはデータです。だから、データの鮮度・正確さ・分析の切り口というのは非常に大事な要素です。どれだけ経営判断力がある社長でも、間違ったデータや古いデータをもとにしたのでは正しい判断とはなりません。常に最新の正確なデータを用いる必要があります。

この最新で正確なデータをもたらす仕組みを安定的に作り出すためにはシステムの活用が不可欠です。特に社員数や拠点数が多いほどシステムは力を発揮します。「俺はITが苦手。システム投資は金食い虫だから、できればやりたくない」という思想の人はこれからの時代の経営者には向いていません。どんなに人柄が良くても、野性的な勘があってもです。修羅場で生き残る力も社長の仕事ですが、それ以上に日常の経営で高い打率で正しい判断を下すことの方が重要なはずです。これにはITを会社として使う覚悟を社長自身がまず持つ必要があるのです。

2016年11月