開館30周年記念特別展

「なばたとしたかこびとづかんの世界展」

2020/10/31()12/20()

やかげ郷土美術館


 かつてこびとづかんを面白がっていた孫も、今は中学生になってしまっている。やかげ郷土美術館をこの前訪れたのはノンタン展だったが、今回もこの重厚なたたずまいの建築との違和感を楽しんだ。土曜日だったせいもあるが、こんなに子どもがいるのかというほど、静かな界隈は賑わっていた。


 作品鑑賞もさることながら、子どもたちのエネルギッシュな喧騒こそが、鑑賞の対象となる。絵本はそれに出会う手がかりに過ぎないといえば、展覧会の企画をおとしめることになってしまうが、郷土が明日に生きるための生命線でもあるはずだ。もはや倉敷の大原美術館を持ち出すには、古びた感がある。若い家族がベビーカーを押しながら訪れるには、それは権威となりすぎてしまったようだ。やかげの取り組みは今後も続くだろうし、応援していきたいと思った。帰りがけにかたわらの池で見事な鯉の群れにこの日も出会うことができた。


by Masaaki Kambara