揚州八怪

2021年06月12日~08月15日

大阪市立美術館


 上海博物館からの出品が、コロナ禍の影響ですべてキャンセルとなったが、展覧会は強行突破したようだ。写真展示を通していつの日か上海に行ってみたい気にさせる効果は、十分にあった。でもこれって詐欺じゃないと思う人もいるだろう。コロナのリベンジで終息後に出品作を招来して今日のチケットで見せてくれればそれでいい。来ないだけに伝聞が過重に膨らむ。図録には載っているし、見たくなるような記述にそそられる。プリニウスの博物誌は、展覧会図録のことだったのかと思えてくる。

 山水画の大作を熱心に見ている。目を凝らしているのは人が何人描かれているかを数えているのだ。人の営みはちっぽけだが、大自然のなかに小さな家がある。家の窓から人の姿が見える。小さな橋を渡る豆粒のような人がいる。見逃していないか、目を皿にして眺めまわす。ただの遊びだが、やりはじめるとおもしろい。人を隠し込むようにして描いているのではないかと思いはじめる。

 五言や七言の書を熱心に見ている。何を見ているのかというと、自分の氏名を構成している漢字四文字を探しているのだ。全部そろっているのはめったにないが、見つかると感激ものだ。楷書と隷書がありがたい。行書や草書になるととたんに意志が半減する。金農の隷書がいい。自分の四文字を探し出して、切り取って名刺に使いたいのだが、今回の出品中では実現できず。邪道な鑑賞法ではあるが、書を楽しむことなどなかったことを考えれば、まんざらまちがってはいないような気もする。


by Masaaki Kambara