第997回 2026年3月4日
木下惠介監督・脚本、阿部知二原作、木下忠司音楽、大野久男録音、高峰秀子主演、高峰三枝子、岸惠子、久我美子、田村高廣共演、毎日映画コンクール監督賞・脚本賞・女優主演賞・女優助演賞・音楽賞・録音賞、ブルーリボン賞脚本賞・主演女優賞受賞、141分。
京都の女子大(正倫女子大学)に入学してきた学生たちを描いた群像劇。規律に縛られた寮生活を改善しようと、立ち上がった娘たちの戦いが綴られていく。中心になるのは高峰秀子演じる、他とは3年ほど歳上の学生(出石芳江)である。
親の反対で好きだった男(下田参吉)と別れ、3年間の銀行勤めのあと、見合いをさせられる。男のことが忘れられず、大学に学びたいと言って親を説得した。見合いを断る理由にもなり、親も進学を承諾した。
姫路からやってきて寮に入った。愛する男は東京に出て法学部に学んでいる。手紙のやり取りをするが、寮の規則は厳しく、外出の制限だけではなく、手紙の内容についても検閲をしていた。
そっけない内容しか書けずに、不満がたまっていく。寮を出て下宿を申し出るが、自宅生以外は寮に入る規則だった。親から預かっている、だいじな娘であることを強調して、手紙の内容から恋人の存在も把握されていた。
10時の消灯後も勉強を続けていると、校長(五條真弓)から目をつけられ咎められる。明かりのある部屋を貸してくれと頼むが受け付けられない。自分は歳を食っていて、勉学に時間がかかると訴えるが効き遂げられなかった。恋人に手紙を書く時間はあるのかと、皮肉を言われている。
同室者は5、6人いたが、それぞれに不満をだいている。学生に団結を呼びかける自宅生(林野明子)が部屋にやってくる。共産党の活動をしているとも噂されたが、財閥の娘だった。
父親が大学に資金援助をしていることから、特別扱いがされていた。校長からも強く言われることはなかった。校長の不倫の話も祖母から聞いていた。妻子ある男爵と恋愛の末、子を産み落としたことも知っていた。
校長は自宅生が戻ったあと、部屋のリーダーが呼び出されると、それまで大学の批判に同調していたのを翻して、それぞれの学生の思想傾向を報告している。校長には教師にも学生にも、何人かの取り巻きがいた。
財閥娘の活動を批判的に見る学生もいる。痛みを知らないお嬢様の反発に過ぎず、世間知らずが批判された。敦賀からきた同室の学生(滝岡富子)がいた。休みの日に男性と時間を過ごし、門限に間に合わずに寮に戻ってきた。姫路の娘が見つけて鍵を開いてやったが、これも校長に知れて、二人とも処罰を受けることになる。
男性教師(平戸喜平)がいて校長とは対立して、娘たちには同情的だった。歳上の学生については、相談に乗ってやり特に気にかけていた。校長に意見すると、言い返されて簡単に引き下がってしまう。赴任してまだ3年であり、それ以前の中学教師だったときよりは、給料が上がったことに感謝しており、強い立場ではなかった。
同室学生の態度は改められずに、寺に預けられ謹慎することを言い渡される。拒否すると学ぶ権利を主張して、集会を呼びかけ、騒ぎが広がると、おもだった学生は処罰の対象になる。
学生によって罰に差があった。歳上の彼女は、男性教師の意見もあって軽い処罰だった。これによって学生の間に仲間割れがはじまっていく。それも学校側の作戦だったが、処罰が軽かったのは、主要メンバーの名を学校側に教えたからだと噂された。
寺に送られることに同情された娘までも、彼女を疑った。耐えきれなくなって、大学から姿を消してしまう。親にも警察にも連絡され、大騒ぎになる。東京にいる恋人のもとに向かっていた。
男は裕福ではなくアルバイトに追われていたが、正月休みに東京から戻ることができた。娘は親の監視をかい潜って、短時間だが実家のある姫路で会った。男はいつでも東京に逃げてこいと伝えていた。
女はお菊や千姫を例にあげながら、姫路にはどうしてこんなに悲しい女が、多く出てくるのかと嘆いていた。姉もまた愛する相手をあきらめて、親の決めた縁談に従っていて、妹の幸せを願って見逃してくれた。
東京で二人は出会うことができた。男はもう離れないと決意をするが、女には逃げてきたことに罪悪感が残っていた。置き手紙をして京都に戻ることになる。こころを病んでいて、誰もいない教室に入り込んで自殺をしてしまった。
大学はマスコミに知られないように対策をねるが、学生はこの悲劇を二度と起こさないように、集会を開いて大声をあげている。姫路での別れでは、男は東京に向かう列車の最後列のデッキから、女は姫路城の最上層から、互いにハンカチを振りあって、再会を誓ったはずだった。