福井県立歴史博物館・常設展


2019/9/4

 常設展示をこんなに楽しんだことはあまりない。40年前、私が福井にいた頃に博物館は開館していたし、勤務する学芸員とも行き来があったのだが、今は全く記憶に残っていない。はじめてくる施設で福井の歴史を学んだという印象だ。昭和のくらしという展示を前に、福井での昔日の6年間と、大阪にいた少年の頃の記憶とが、二重写しになった。昭和30年代は福井も大阪も変わらない。マンプク食堂という懐かし気なセットがある。テレビのCMであったり、漫画のヒーローであったり、共有できるものが多すぎる。

 映画になれば「三丁目の夕日」ということになるが、映画のセットでありながら、現状保存をしたような立体的世界に入り込むことができた。鈴木モーターズに似た店もあった。横浜のラーメン横丁もそうだったし、福山の歴史博物館の草戸千軒の復元展示も含めて、美術館にはない味わいを満喫した。リピーターを期待できないものではあるが、はじめてのインパクトは大きい。ただし何十年もたつと忘れてしまっているので、はじめてと同じことにはなるだろう。博物館のある幾久公園すら記憶に残っていないが、とてもいい青春プレイバックではあった。


by Masaaki KAMBARA