オープン・スペース 2019 別の見方で

2019年05月18日~2020年03月01日

NTTインターコミュニケーション・センター(ICC)


2019/7/19

 鑑賞よりもプレイ型の作品が多い中、梅田宏明の映像が際立っていた。一部屋を使って4面と床に無数の光の粒が流動する。ダンサーとしても知られるが、見事に振り付けられた群舞を見ているような気がしてくる。しかし、床面に足元から揺れ動かされるような錯覚を伴うと、鑑賞者もじっとしてはおられず、移動をしいられる。座席に着いて前を見ているだけでよかった従来の鑑賞法が崩壊し、光の粒の動きに合わせて、ダンスをしている自分に出会う。

 舞踊家が余技として映像作品も作っているのだと思ったが、実はダンスの本質がこのヴァーチャルの側に由来するのではないかと思いはじめる。鑑賞としての舞踊が定着すると、鑑賞者は身体を動かす束縛から解放されることがてきなくなる。自然にからだが動くんですよ、という犯罪には使ってならないセリフが、映像表現を通して体現されていく。舞踊家であるからこそ説得力をもつ身体のイメージがあるのだと思った。


by Masaaki KAMBARA