2020-Ⅱ コレクション・ハイライト+特集「肖像(わたし)」

2020年08月06日~2020年11月29日

広島市立現代美術館

 かなり長く閉館するというので、これまでの思い出にと常設展を訪れる。20世紀の現代美術を通観するときの重要な作品が、かなり含まれていて勉強になる。アンディ・ウォーホルのマリリンモンローはどこにでもあるものだが、色ちがいが複数枚並ぶとやはりいい。半世紀も前のものだが、古びていないおしゃれな感覚に驚く。

 広報の表紙に使われた石内都の口紅のクローズアップがいい。母の思い出だろうが、古びていて味わいを残してたたずむ姿に、モノに託された愛惜を読み取ることができる。見ようによればライフルの薬莢(カートリッジ)を思わせるところが興味深い。それは戦いの痕跡であり、横須賀や港町の居留地に共通した、酒場女の残した武器にも見え出してくる。

by Masaaki Kambara