水野勝成福山入封400年記念

国宝 久能山東照宮—徳川家康と歴代将軍ゆかりの名宝

2019年09月21日~11月17日

ふくやま美術館・ふくやま書道美術館・福山城博物館


2019/10/25

 家康を神と祀る徳川幕府礼賛の展覧会である。福山の三館をあげての大規模な展覧会になっている。関西人にとっては家康はそれほどの関心事とはならないが、こんなに国宝や重要文化財を並べられると、見直さざるを得なくなる。

 最初には国宝の名刀が並ぶ。備前産のようだが、確かによく切れそうだ。罪人で試し斬りをしたという解説もあるが、名刀の誇りは未使用に限るものだろうと思う。人の血を吸って日本刀は鍛えられるという邪説もあるが、神刀は人のけがれを避けるものだろう。国を治める象徴として、名刀は神に捧げられる。黒澤明の椿三十郎でだったか、本当によい刀は鞘に入っているものですよというセリフがあった。

 もう戦争はもうこりごりだという思いが戦後民主主義の誓いだとすれば、家康の思いもそれに近かったはずだ。その信念が末代にまで通じたとするならば、江戸の平和は稀に見る偉大なものに見えてくる。


by Masaaki KAMBARA