大正・昭和 神戸まぼろしの公会堂 コンペ再現!展

神戸ゆかりの美術館

2019年11月23日~2020年03月08日


2020/1/8

 二度のコンペは開催されたが、建設されることなく終わった幻の建築展である。よくある話ではあるのだろうが、精魂込めて図面を仕上げた建築家には、怨念が募るものでもある。第一席だけでなく、佳作も含めて何作もの応募書類が残されていて、それらを集めての展覧会となった。神戸市文書館の所蔵とある。こんなものを展示して展覧会が成立するとは思えないが、「インポッシブル・アーキテクチャー」とあわせて見ると、タイムリーな感じがする。

 大都市の代名詞のように公会堂が建てられた時代があった。子どもの頃、大阪に住んでいて、日清戦争の年に生まれた政治好きの祖父が、中之島の中央公会堂に政治家の演説をよく聞きに行ったという話を聞いていた。神戸には残念ながら実現しなかったという話だが、コンクールに出品された計画案を見る限りでは、大小のホールと大食堂を構えた立派なものであったことがうかがわれる。幻の建築であることが、応募作を同列に並べて、再度検証してみようという気にさせる。図面を見比べながら、審査員の気になって再検討をしてみようと思った。


by Masaaki Kambara