ガラスと陶器に描かれた「昆虫と動物たち」

アメリカ現代グラスアートの巨匠「デイル・チフーリ展」

2019年5月25日(土)~11月10日(日)

大一美術館


2019/6/28

 ドーム兄弟のナイーブな壊れやすさを彷彿とさせるガラスの華麗さから始まって、エミール・ガレの少しいびつな奇想のジャポニスムへと展示は続いている。今回はガラスではないガレの陶芸をまとめて見ることができた。透明感がない分、どてっとした印象が強まるが、悪くはない。原色の生きものが表面に張り付いている。蜻蛉(トンボ)などが出てくると日本趣味へと誘われるが、蜻蛉(カゲロウ)のもつはかなさの美学を共有するものだ。ガレの好んだモチーフだが、エスカレートするとトカゲが皿に張り付き、悪趣味に変貌する。

 二階は全体チフーリ埋め尽くされる。アメリカの作家だが、さらにけばけばしいまでのガラスの可能性を引き出した。原綴りからするとチフーリィだろうが、チフーリだとイタリア人のように聞こえる。本場ヴェネツィアに学び、陽気な地中海的気質をカモフラージュしていて、日本人の愛する陰翳礼讃とは対極にある。やはり始まりのドーム兄弟のヨーロピアンスタイルがいいぞという人も多いだろう。チフーリの奥になぜか片岡球子の日本画が4点ほど並んでいた。このけばげばしい日本画の革新は、日本のチフーリということなのだと思って見ていた。


by Masaaki KAMBARA