岡山の日蓮法華

2019年10月11日~11月10日

岡山県立博物館


2019/10/11

 何といっても「南無妙法蓮華経」の文字がいい。絵になるには仏像や仏画が必須だが、お題目そのもののもつパワーは、文字の飛び跳ねるような装飾に現れている。穏やかな顔立ちをもった仏の顔とは対極にある怒り狂うエネルギッシュな始祖の情念が伝わる書である。絵以上に字のパワーを知っていた証拠であろうし、名号を本尊とする過激は、プロテスタントの攻撃性を連想するものとなる。鎌倉仏教が庶民に支えられた宗教改革であったことは確かだし、それは聖書をドイツ語に翻訳した文字の力の信仰に対応する。はじめには言葉があった。それを唱えるだけでいいという思想は東西で共通している。


by Masaaki KAMBARA