リニューアル記念 神戸市立博物館名品展—まじわる文化、つなぐ歴史、むすぶ美—

2019年11月02日~12月22日

神戸市立博物館


2019/12/15

 リニューアルのお披露目、名品展である。この博物館には目玉商品がいくつかある。南蛮美術館を母体にした神戸ならではの異国趣味と古地図は定評があるが、考古学のコーナーに並んでいた桜ヶ丘古墳から出土した銅鐸群が圧巻だった。浮き彫りになった絵がいい。流水紋のような幾何学的パターンもあるが、人間や動物のシンプルな図柄がことにいい。

 絵画のはじまりや構図という概念の誕生などを考えるきっかけになるものだ。シンプルな線で一筆書きのように人の骨格を浮き上がらせる手法は、目に見える輪郭をなぞることから絵画が始まったという、リアリズムやイリュージョンとは異なった絵画論を提出する。ジャコメッティの彫刻を思わせるような、造形性を感じさせるもので、外観ではなくて、いかに立たせるか、つまり自立させるかに主眼が置かれているようだ。

 袈裟襷紋(けさだすきもん)という難しい名称をもつが、四角の区画に複数の人物を配すると、そこには人と人、あるいは人と動物、さらには空間という概念が誕生してくる。モノそのものではなく、モノとモノとの関係を描くということだ。人類の進化過程が見えてきて興味深い。


by Masaaki KAMBARA