ポーラ美術館×ひろしま美術館 共同企画 

印象派、記憶への旅

2019年08月10日~10月27日

ひろしま美術館


2019/10/6

 同質の所蔵品を分けもつ二館が共同企画で、並び合う。離ればなれになっていた兄弟が再会するような、神秘めいた因縁を感じる。広島には頻繁に来ていたので、常設展では見飽きた感のあったひろしま美術館の所蔵品が、新たな目で見直されていく。相乗効果という語があるが、その現象は響き合いという類語を持ち、反響という音楽用語となって、美術が音楽のカテゴリーの中で、空間的広がりを獲得する。

 ことに印象派の絵は、この集合体に属して、並べられた時にはじめて、みごとに双子の兄弟となるのだ。これは一種のお見合いのセレモニーであって、家と家との格式も読み取れることになる。私は目新しいポーラ美術館のものばかりに目が向いたが、見慣れたものよりも珍しいものを求め、やがて見慣れたもののよさを再認識することになる。

 近代絵画の系譜を一元化して、日本全域に拡張していく文化政策の同質性も感じなくはないが、危険分散という意味からも、賢明な選択であり、地方の時代の訪れとともに加速化していった現象でもあった。近代絵画の私立コレクションは倉敷の大原美術館からはじまったが、今回の例になぞらえるなら、大原コレクションと松方コレクションのコラボレーションの企画も考えられる。


by Masaaki KAMBARA