ルイス警部9

オックスフォードミステリ― ルイス警部

ルイス警部9の1悲しみの童歌

井戸から白骨死体が見つかる。マドックスはすっかり元気になり仕事に復帰。トニーはカナダに出張中で一人暮らしだが、復帰にあたってもめなかったのかね。ハサウェイは一週間の休暇を取ったが、行ったのは父フィリップがいる施設。彼は認知症らしい。母親は12年前に亡くなった。後で妹のネルが出てきて、みんな私に押しつけただの見て見ぬふりをしただのと恨み言を言われる。う~ん、どこの国も同じなのねえ。ハサウェイは休暇を三日で切り上げて仕事に復帰。イノセントは異動になり、新しく来たのがムーディ主任警視。ロンドン警視庁にいたのか。捜査に口を出したり、やたら差し入れをしたり、彼も慣れるまでは気をつかうと思うよ。さて、動物の剝製と映像を組み合わせた作品展開いているタリカが殺される。彼女は以前麻薬をやっていて、ヘロインの過剰摂取に見えるが、他殺に思える。彼女に剥製技術教えたのがジャスパー。タリカは優秀な学生だったが、博士課程を途中でやめ、麻薬をやったりしたが、アーティストとして立ち直ったところ。師のヴィヴィアンと、ホームレスのための移動図書館やってる夫のイアン。夫婦の息子がオリーで、彼はタリカの妹サヒラと付き合っているが、イアンは大反対。サヒラはブログをやっていて、姉が麻薬をやっていたことや、姉を殺したのはジャスパーなどと動画をアップ。ブログには悪質なコメントも寄せられているが、後でサヒラ自身が投稿していたとわかる。優秀な姉に嫉妬し、自分も目立ちたいからだが、こういうのっているよな。ラストでは会員数が50万人になったとか喜んでいたし、何でもかんでもさらけ出して、とにかくみんなに自分のことを知ってもらいたい。一歩間違えれば犯罪だし(ジャスパーの家は落書きされ、甥ショーンの剝製の店には無言電話のいやがらせ)、私は犯人を知っているなんて公言したら危険な場合もあるわけで。そういうことには思い至らず、目先の数字や感情に流される。そのうちタリカはイアンから毎月大金を送られていたことがわかる。不倫はヴィヴィアンも承知で、イアンはすぐ目が覚め、夫婦仲は問題なしとのことだが、誰が信じるかっての。

悲しみの童歌2

そのうち例の白骨死体はホームレスのインドレックとわかる。ルイスは作品展のためにタリカがとりためていた映像を調べていて、とんでもないものを見つける。インドレックが殴られ、バルコニーか何かから突き落とされるところがうつっていた。この映像の一部は作品展でも一瞬流れていたが、ルイスは見てない。ハサウェイはローラと一緒に行ったに見ている。ジャスパーは麻薬とも殺人とも無関係だが、ショーンの方は麻薬に関係していて。タリカの作った剥製の中に金を詰めて海外へ持ち出そうとしていたことがわかり、逮捕される。移動図書館で働いているブライオニ―は何か隠しているようだ。おびえてもいる。でも聞き出す前に具合が悪くなって倒れる。毒を盛られたのか。例の映像から何とか撮影場所を割り出そうとするルイス達。それにはタリカの残したスケッチが役に立った。また、映像には時間が入っている。9時きっかりに映像が揺れるのは時計のせいではないか。時計台の一室を借りたのはヴィヴィアンとタリカ。バルコニーもある。二人が共著で出した論文がある。看守役と囚人役に分ける心理学の実験。1971年にスタンフォード大学で実際に起きたのが「スタンフォード監獄事件」。「es[エス]」とかいう映画やそのリメイクなどがあるようだが、私は見たことなし。インドレックを殺した看守役はフードをかぶっているから顔はわからないけど、論文からブライオニーとわかる。しかし回復した彼女が言うには子供の病気でドタキャンしたとのこと。結局代わりに看守役やったのは当時15歳のオリー。エスカレートした彼がインドレックを殺してしまったため、両親は死体を始末。作品展で映像を見たオリーは自首するつもりだったけど、イアンはタリカを殺してしまう。例の金・・口止め料の受け取りをブロックしたし、作品展で殺人があったことをほのめかしていた。こりゃまずいと先走ったのだ。ブライオニーに使われたのはヴィヴィアンの母の心臓の薬。イアンが金庫からタリカに打つ麻薬取り出してるとこ見られてしまった。夫婦して息子のためとくり返すが、オリーにしてみればたまったもんじゃない。頼んだわけでもないのに死人を出して。悩み苦しみ自傷行為をくり返す彼が気の毒。

ルイス警部9の2錬金術殺人事件

錬金術ということで期待したけど、何だかな~という感じ。教授のフィルが殺される。死体はウジ虫まみれという演出(ウゲ~)。彼は理工系だが、チャールズ・ウィリアムズの専門家である。このウィリアムズは秘密結社を作ったが、そのうち衰退。フィル、刺青師のジェイ、ダックスらで再興しようとしてると。元々はフィルの妹カリーナの始めた勉強会だが、その彼女は八年前に学問を捨て、今は学生寮の清掃員をしている。フィル達の集会にも出ないし儀式にも。学生の一人サムとは関係を持っている。そのうちダックスの妻アナが殺される。みんな隠し事をしていて、そのせいでルイス達の捜査も難航する。宗教史のアイザー博士はフィルと考えが合わないが、そのアイザーはフィルの妻グレースを愛し続けている。グレースは夫とはセックスレスだが、アイザーになびく気はない。アイザーが森の中にいるシーンは意味ありげだが、結局何の意味があったのだろう。儀式ではアナの罪をダックスが許して、それで彼女は心の平安を得るが、その罪が何なのかダックスは知らない(はあ~?)。一時ダックスや学生のネイトが疑われるが、後で二人は恋人関係になったのだとわかる(はあ~?)。うん、だからそうやって隠しているから疑われるんだってば。ジェイが殺され、残ったのはカリーナ一人となっても、なかなか真相を話さない。だからどんなにすごい秘密かと思ってたら飲酒運転の偽装。ブリストルの会議に出た四人は酒を飲んで騒ぎ、カリーナの運転する車がフィッシャーという男に衝突。比較的酒量の少なかったフィルが運転していたということにし、残りの三人が偽証。事故で片づけられる。そのフィッシャーには息子が二人いて、そのうちの一人ジョンがサムと名乗ってここの学生に。目的は父親の復讐。父親は錬金術に凝っていて、彼もそのやり方で。サムがカリーナに許しを与えればカリーナの苦悩も晴れるけど、彼女の方は兄や友人を殺したと怒っていたな。ちゃんと事故の責任取らず、偽装したりするからこういうややこしいことになる。罪悪感を儀式だの何だのでごまかそうとしていて、見ていてもバッカじゃないの?と思ってしまう。

ルイス警部9の3絡まった結び目

「ルイス警部」の最終話。いよいよここまで来てしまったかと感慨深かったりさびしかったり。老人に本を読む女性。カジノで儲けたらしい男性。夫に職場まで送ってもらった妻。ゴミ処理場で働く中年男性。あたしゃてっきりカジノで儲けた男性が殺されて、ゴミ処理場で発見されるのだろうと思ったら違いました。若くてハンサムで誰にでも・・特に若い女性に・・愛想のいいアダムは、郵便物を手に職場へ。そのうちの小包を開けようとしたら爆発が起き・・。あら、このハンサムさんはもう退場ですか、つまんね~の。駆けつけたデヴィッドは彼の兄で、カジノにいた男性だ。兄弟揃って優秀だが、特にアダムは天才。結び目理論だかDNA研究だかをやってる数学者。アダムのところには脅迫状が来ていたが、デヴィッドは学生のケイトの仕業だと思っている。研究成果を盗まれたと恨んでいるらしい。アダムの妻エリザベスは化学者。彼女の父ドナルドは病気で、冒頭本を読んであげていたのが看護師のサラ。義父ドナルドのロックストン財団のおかげで、アダムは金の心配をせず研究ができた。エリザベスは何度も離婚を考えたが実行できないでいる。たぶんアダムの魅力が決心を鈍らせるのだろう。彼は学生のポーラと浮気。彼女はレイプされたと訴えたが不起訴になり、自殺。ゴミ処理場にいたのが彼女の父フランクで、で脅迫状は彼の仕業とわかる。彼も妻も娘の死に痛手を受けている。ポーラにはアダムではない別の恋人がいたらしいが、ここでははっきりせず通り過ぎる。爆弾には雷酸水銀とやらが使われていた。カジノで儲けていたアンドリューもオックスフォードで教えていて、薬品の管理には自信持ってる。アメリカから来ている特別研究員のジモンは、何やらありそうな感じ。彼はケイトと恋仲で、彼女の復讐を助けるため薬品を持ち出し、それでビクビクしているのかと思ったら全然違った。ビザをごまかしているのがバレるのではと、そっちの方。デヴィッドはアンドリューにつきまとわれ、金を渡したりしているが、で二人で組んでいかさまをしていたのだとわかる。デヴィッドはカードの予測とかそういうのができるらしい。ただ、アンドリューの方はギャンブル依存症になってしまっていて、一人で出かけては金をすってしまう。

絡まった結び目2

二人の取り分はデヴィッドが7でアンドリューが3だが、そういうわけでいくら分け前をもらっても焼け石に水。さて、サラにはグレースという娘がいるが、実はアダムとの間にできた子。離婚直後に若くてハンサムな彼に出会い、のぼせ上がってしまった。エリザベスもこのことは知ってる。デヴィッドは研究成果をもとに、製薬会社と契約するつもりでいた。アダムは義父の後ろ盾があるからいいが、デヴィッドは上に書いたようにアンドリューとのトラブル抱えてる。と言うか、アダムは死んだのでエリザベスが契約金を受け取ることになる。彼女は化学者だし、当然疑われる。そのうち今度はデヴィッドに爆発物が送られてくる。幸い軽傷ですんだが、実は(前の爆弾の)標的はアダムではなくデヴィッドだったのでは・・となったりする。そのうちアンドリューが爆死。爆発物を作っている最中に・・と見えるが、ローラによれば絞殺だと。まああれこれあるのだが、結局あのポーラには恋人がいたらしいってのが伏線。こうやって見ながらメモを取っているんでなきゃそんなこと忘れているけど。一方ルイスはローラの希望でニュージーランド旅行へ行くことになっているが、どうも気が進まない。前に退職した時のことが頭にある。退屈で仕方なかった。仕事をしていない自分なんか考えられない。本音を言えば、自分がいない間に忘れ去られ、クビになるのが怖い。何だかんだ言っても人はすぐ忘れる。もちろん最後には考え直して二人で出発するけどね。ルイスを見ていてつくづく思う。出てくる人達の人生の何とドロドロしていることか。それに比べの人生の何と曇りもかげりもなくカラッと単純であることか。不倫も汚職も嫉妬も憎悪もなし。さてマードックは夫の不在が長引いている。ここを離れるという選択肢もあったが、結局はとどまることに。彼女は仕事が終わると毎晩のように飲み歩いているようだ。ハサウェイはやっと時々父親のところへ顔を出すようになった。脳卒中を起こすなど状態はよくないが、妹ネルとの関係は改善したようでよかった。父の枕元で本を読み聞かせるハサウェイに胸キュン。ルイス達を見送り、一人残されたハサウェイ。ん~だから彼主役で「ハサウェイ警部の事件簿」作ってくださいってば!これでお別れなんていやですぅ。