メグレと若い女の死

メグレと若い女の死

田舎から出てきた若い女性が殺されるというのは原作通りだが、犯人などだいぶ変更されている。メグレは疲れていて体調もよくない。医者には休むか退職しろと言われる。でも見ている人全員思う。太りすぎだよ・・って。メグレじゃなくて演じているジェラール・ドパルデューがだけど。ローランとジャニーヌの婚約パーティに現われた若い女性すぐ二人に追い返されその後刺殺体となって発見されるが、身元わかるものが何もない。どこか別のところで殺されて、車・・それも高級車で運ばれてきたらしい。まず着ていたドレスから、それを借りた店がわかる。保証として持ち物を預けていて、中にアヘンチンキがあった。で、処方した薬局で住んでいるところがわかって、その部屋へ。借りていたのはジャニーヌだが、もう出てしまって今住んでいるのがルイーズ。この・・少しずつほどけていくようなプロセスがいい。そのうち例のパーティに行き着くが、誰もルイーズが来ていたことには気づいてない。でもカメラマンがうつした写真の中にちらりとうつっていて。多くの女性が田舎からパリへ出てくるが、実業家のローランを射止めたジャニーヌのような例はまれで、多くは貧乏や孤独、転落の道を歩む。メグレに万引きを見つかったベティもそんな一人。メグレは彼女をルイーズの部屋に住まわせたり、自分の家に泊めたりする。彼には幼い頃に死んだ娘がいるらしく、生きていればベティくらいの年頃になるのか。泊めた翌朝彼女と妻の楽しそうな会話を聞き、ヒゲを剃りながら微笑むメグレ。彼の表情がゆるんだのってこの時くらいでは?ところでフランスで朝だからカフェオレでも飲んでいるのだろうが、カップではなくまるでドンブリですな。取っ手がなくて大きくて。事件の方は最初に書いたが原作とは違う展開。ジャニーヌやローラン、彼の母親の三人が怪しいのは見え見えで、そっちの方期待するとはずされる。母親が息子を溺愛・・ってアンタ、ひねりも何もないじゃないですか。出演者はドパルデュー以外は知らない人ばかり。でも出てくる女性はみな美人だ。静かな雰囲気や、そこにいるだけで威圧感があるのに、それでいて奥に引っ込んでいるようなドパルデューのたたずまいはよかった。