屋部のイルカ

屋部のイルカ(屋部区の伝承話)

名護にイルカが寄るのはよく知られているが、昔は屋部の海にも寄った。その頃の屋部川は大きく深い川で、その上流までイルカが上ることもあった。そんな時、屋部の村人は競ってイルカを捕り、その肉や油を取った。

ある日、大きな鍋を前にして油を取っていた母親が、背負っていた子供を誤ってその鍋の中に落としてしまった。子供は亡くなり、村人は悲しんだ。そして、二度とそんな不幸が起こらないように、「もう、屋部にはイルカは寄せてくれるな」と祈願した。それ以来、屋部にはイルカが寄らなくなったという。

出典:「わがまちわがむら