嘉津宇岳安和岳八重岳自然保護区

嘉津宇岳安和岳八重岳自然保護区

種別:天然記念物

指定年月日:昭和47年3月14日/県指定

所在地:勝山・安和・本部町

自然保護区は、448mの嘉津宇岳、432mの安和岳、453mの八重岳からなります。いずれも古生層の石灰岩、硅石、一部は粘板岩や千枚岩を基岩としています。石灰岩地特有のカルスト地形を示し、地形や地質の違いによって特徴ある植生が見られます。分布上興味のある植物として、沖縄島の国有種にヒナカンアオイ、オナガサイシン、リュウキュウハナイカダなど。南限種にイワヤナギシダ、ヤマアイ、ヌスビトハギ、ナンゴクアオキ、カツウダケイビネなど。北限種にリュウキュウミヤマトベラ、カツウダケカンアオイなどが自生します。

石灰岩を基盤にした、山岳部や尾根部には高木林が発達せず、サルカケミカン、セイロンベンケイなどが生育します。中腹部は樹高5~6mのイスノキ-ムサシアブミ群落を形成し、高木層にイスノキ、ホルトノキ、シマタゴ、ヤブニッケイ、クスノハカエデ、コクテンギなど。低木層にクロツグ、ナガミボチョウジ、リュウキュウモクセイ、ヤブツバキ、ヒラミレモン、ショウベンノキ、モクタチバナなど。草本層にムサシアブミ、ノシラン、イシカグマ、カツモウイノデ、ユウコクラン、アリモリソウ、キズタ、リュウキュウテイカカズラなどが見られます。粘板岩や千枚岩を基盤とするところではイタジイ林を形成しています。

貴重なチョウ類として、固有亜種、分布の北限種で県指定の天然記念物、オキナワスズムシソウやセイタカスズムシソウを食するコノハチョウ、ヤエヤマネコノチチやクワノハエノキを食するフタオチョウがいます。

本地域は基盤や地形などの違いにより異質の植生や、分布の限られた、分布上珍しい動物が生息している貴重な自然保護区です。