我部祖河の高倉

我部祖河の高倉

種別:有形民俗文化財

指定年月日:昭和42年4月11日/県指定

所在地:我部祖河109

稲の貯蔵庫をして、沖縄のいたるところの稲作農家に高倉がありましたが、今は、ほとんど見ることがありません。名護市では、ここ我部祖河と名護博物館にだけ見ることができる貴重な民俗文化財です。高倉は、穀物を貯蔵するための倉で、通風をよくし、湿気などを除くために床を思いきり高く上げ、ねずみの害から守るための工夫もされています。構造は、木造の茅ぶきが多く、建物の大きさに応じて支え柱(径20~30cm)を4本、6本、9本などと配列し、豪農になると16本柱の大倉もあったといいます。

我部祖河の高倉は、床が地上2mくらいの位置に厚さ7cmの板で頑丈に敷きつめ、壁は山原竹で編んだチヌブでもって約45度外側に傾斜してはりつけられています。梯子は12cm程度の角材に段刻りした一本造りで、穀物をねずみの害から防ぐため利用する以外は取り除けるようになっています。

稲作農家では、ほとんど各戸に高倉がありましたが、土地共有制の頃には屋敷の狭さや災害保護策などもあって、村の一ヶ所に集中的に建っていたところもあったそうです。そこを群倉(ぶりぐら)と呼びました。この我部祖河の高倉は香川県出身の銅鐸に描かれた高倉と同型であり、その形様は農民の基盤的な生活文化の特色を示す典型的なものです。