花当幸地里之子

琉球王の花係をしている者に幸地里之子という美男子がいた。王様の娘は里之子に惚れ、二人は恋仲になったが、許される仲ではなかった。二人は山原に逃げ、喜瀬の海岸にあるアンマガタムトゥという洞窟に隠れて暮らしていた。

ある日、里之子が海で潮干狩をしている時、喜瀬のノロに会い、シガマ森に移りたいといった。しかしノロは、そこは見晴らしの悪い所で、追手が来るのも見えず、危険な所だ。向うに見える安和岳なら、追手の来るのもよく見えるだろうと教えてくれた。二人はノロに礼をいって安和岳に逃げていった。

ところが、安和岳に住んだ里之子は、村人の作物などを盗むようになった。村人は、里之子を追い払おうと立ち上がった。それを知った里之子はそこで自殺したという。