ハナゴーリの幽霊

幸喜と湖辺底の間にハナゴーリと呼ばれる所がある。そこの岩がちょうど人の鼻が壊れた形をしていたので、そう呼んでいた。そこには、昔から幽霊が出るという話があった。

廃藩置県の頃、恩河親雲上という方が幸喜に住み、村の人々に踊りを教えていた。その妻は、湖辺底に働きに出ていて、帰る時にはいつも日が暮れていた。その日も日が暮れてから、その幽霊が出るという所を通ろうとすると、前から白いものがカチカチと音をたてて近づいてくる。びっくりしたその奥さんは、メーチャー(下着)を取って頭にかぶり、一目散に走っていったそうだ。昔は幽翌を見たらそうすればいいと言われていた。しかし、後で聞くと、それは白いズボンを着た警官だったそうだ。

わがまちわがむら 昭和61年民話調査より