汀間のウシデーク

◆汀間のウシデーク

汀間ではウシデータ、ウスデークといい、女性だけの行事である。旧暦8月11日にタチウクシ(立ち起こし)といって御願と踊りを行い、5日目の旧暦8月15日が本番となる。ウシデークの歌はこの期間以外歌ってはいけないとされる。上演場所は、アサギ及びアサギ庭である。その一帯はウガミグヮー(拝み小)という聖域となっている。

この行事の由来・伝承は不明であるが、古くからの祭りであり、婦人会を中心に年配の方から若い人へと継承されている。指導者は年長者で、1976年(昭和51)当時は宮里春、松田ウシ、野原ナリ、平良フミ、玉城キクらがその役割を担った。踊るのは基本的に婦人会であるが、老人会の女性たちも周辺で見守る。

特に配役に決まりはないが、チジュミ(鼓)は3~5人で、ニードウイ(根取・音取)が持つ。他は手踊りである。踊りは円になって行われ、最初の3曲はアサギ内で反時計回りに踊る。その後はアサギから庭に出てこれも先と同様反時計回りで踊る。衣装は全員紺締の着物であり、年齢による違いはない。基本的に衣装は自前であるが、現在の根神の着物は先代から引き継いだものという。鼓は婦人会備品であり、普段は公民館に保管している。

旧暦8月11日、15日両日とも祈願が行われる。夜7時頃に根神、婦人会役員がサンカジュに集まり、ウシデークの報告と区民の健康祈願を行う。供物は米と酒である。その後、夜八時頃から前述したウシデークの踊りに入る。根神も円の中に入り、皆と同様に踊る。

区民に不幸ごとがあった場合は規模を縮小して行う。2005年(平成17)は、ウシデーク行事前に区民から死者が出たので、婦人たち二十数名によるアサギでの踊りだけで終了した。例年だとアサギでの行事終了後は公民館に席を移し、近年では区長ら男性陣も招待して余興を楽しんでいる。

ウシデークの歌詞は、「汀間区ウスデーク唄」として婦人会によりまとめられたものがあり、曲も2000年(平成12)以前に録音されたと思われるカセットテープがある。2005年の行事では、このテープからさらにダビングしたものを使用した。

記録としては、2006年(平成18)に名護市教育委員会文化課、協力・波照間永吉で地域伝統芸術等保存事業(財団法人地域創造)を活用して製作された映像記録「汀間のウシデーク」(DVD)がある。また2005年の行事も名護市教育委員会文化課、波照間永吉(沖縄県立芸術大学・名護市史芸能部会専門委員)とによって、録画と写真撮影がされている。