宮里前の御嶽のハスノハギリ林

宮里前の御嶽のハスノハギリ林

種別:天然記念物

指定年月日:昭和48年3月19日

所在地:宮里1

名護湾の海岸線には、かつてハスノハギリ林が続いていたといいます。宮里前の御嶽は海浜砂土にありましたが、名護湾の埋立てによって前面の浜が埋められ、国道449号線と21世紀の森で、海と隔てられてしまいました。ハスノハギリにとって本来の生育環境ではありませんが、林の広さと個体の大きさでは本島最大のものです。

ハスノハギリ(Hernandia nymphaeaefolia kubizki)はハスノハギリ科の常緑高木で、沖永良部島を北限とし、琉球列島、熱帯アジア、東部アフリカ、マダガスカル、ポリネシアに分布します。八重山群島の海岸でもよく発達したハスノハギリ林を見ることができます。

前の御嶽はハスノハギリの優先する林で、高木層は高さ17m、胸高直径で最大が175cmあります。その他には、ミフクラギ、クワノハエノキ、ガジュマル、アカテツ、リュウキュウハリギリなどが点在します。拝殿の後方に残っている林の低木層を見ると、クロツグ、ビロウが多く、草本層はフウトウカズラ、トウズルモドキ、ノシランの植被率が高く、その他にハスノハギリなどの上層木の稚樹があります。全体で胸高直径4cm以上のものが270本あり、ハスノハギリはその中の約50%を示します。直径が70cm以上になると、ほぼ100%になります。

林の市民の緑地に利用され、一部をのぞいて下層は発達しません。1978年の台風で2本のハスノハギリの大径木が倒れました。